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能格 のうかくergative

翻訳|ergative

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

能格
のうかく
ergative

言語学用語。他動詞主語に用いられるのこと。能格をもつ言語を能格言語という。印欧語,ウラル語,セム語などでは,自動詞・他動詞を問わず主語は主格におかれるが,能格言語においては,他動詞の主語は能格に,目的語は主格におかれる。たとえばバスク語の"Aita-k semea maite du."「父は息子を愛する」において,aita-k (父は) は能格,semea (息子) は主格である。「息子は父を愛する」の場合には"Semea-k aita maite du"となる。カフカス諸語の多くは能格言語であり,その1つであるグルジア語では,動詞がアオリスト (単純過去) の場合のみ能格を用いる。

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大辞林 第三版の解説

のうかく【能格】

他動詞の主語だけに用いられる格。例えば、バスク語では、自動詞の主語は主格、他動詞の主語は能格、目的語は主格で表される。

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世界大百科事典内の能格の言及

【グルジア語】より

…5個の母音音素と28個の子音音素をもつ。能格ergativeという特殊な格があり,これは他動詞の主語に用いられる。例:γmert‐ma kmna sopeli グメルトマ(神が,‐ma造格語尾で能格),クムナ(作った),ソペリ(世界を,‐i主格語尾),〈神が世界を作った〉。…

【主語・述語】より

…だが,ヨーロッパ諸言語とシンタクスが異なったり,先ほどのような諸特徴を兼ね備えた文成分がなかったりすれば,主語・述語とは何か,場合によってはその認定からして問題になり得る。 特に,能格言語と呼ばれるタイプの言語の場合がそうである。ヨーロッパ諸言語の場合は,意味的に前掲[1]‐(1)に当たる文成分(以下単に〈仕手〉と呼ぶ)は,動詞が自動詞の場合にも他動詞の場合にも形態的に同じ格((4)で述べた主格)で示され,他動詞の場合には,その動作を受ける意味をあらわす文成分(以下〈受手〉と呼ぶ)がこれとは別の格(いわゆる対格(目的格))で示されるのに対し,能格言語ではこうではない。…

【バスク語】より

…バスク語は5個の母音音素と20個の子音音素をもつ。グルジア語や他のカフカス諸語と同様に能格ergativeという特別な格があり,他動詞の主語に用いられる。例:Aita‐k semea maite du.〈父は息子を愛する〉において,aita‐k(父,‐kは能格語尾)は能格,semea(息子,‐aは定冠詞,格語尾ゼロ)は主格に置かれている。…

※「能格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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