… すなわち,[1]主語とされてきた文成分は,意味やシンタクスや形態の上で他の文成分(目的語,補語,副詞句等)とは明らかに区別されるに足る諸々の特徴を備えている。特に,(1)動作をあらわす単純な文(能動文)においては,意味的にその動作主に相当する,(2)シンタクスの上で原則として不可欠である,(3)その人称や数(すう)に対応して動詞の形態が変化する,(4)これらの言語では一般に,代名詞や名詞(あるいはその冠詞)がいわゆる格変化(格)を行うが,そのうち最も基本的と認められる格(主格)の形態であらわれる,という特徴を兼ね備えている点で(ただし現代英語では,(3)はbe動詞のときは認められるものの他の動詞についてはわずかに三人称単数現在の場合に,また(4)の格変化は代名詞の場合に,それぞれとどめているだけではあるが),際だった文成分だと認められる。また,[2]その文成分が典型的には文頭に位置し,文や節からそれを除いた残りの部分が文法上一つのまとまりをなす(文の文法的な構造上,両者の間に大きな切れ目があって全体が二分される)という趣が強い。…
※「主格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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