翻訳|Basque
フランスとスペインの国境のピレネー山脈地方で話される言語。インド・ヨーロッパ語族のロマンス語派の言語圏に挟まれて分布しているが、これとはまったく別系統の言語であると考えられる。カフカス諸語やベルベル諸語に結び付ける試みがなされたり、イベリア語の残存ではないかとする説があったりするが、系統問題はまだ解決されていない。話し手人口は約60万人を有するが、方言差がかなり大きい。近年標準語が制定され、教育にも用いられている。16世紀以降文献があり、19世紀末からバスク語による文学が栄えた。音韻は、母音が五つ(二重母音もある)で、摩擦音・破擦音がやや多種である。述語動詞は文末にたち、主体のみならず目的語(直接および間接)に呼応する接辞が用いられる。形容詞は被修飾名詞の後にたち、名詞には定・不定の区別があるが「性」はない。他動詞の表す行為の主体にあたる名詞は、自動詞に対するそれとは異なる格(いわゆる「能格」)をとる。
[湯川恭敏]
『下宮忠雄著『バスク語入門――言語・民族・文化』(1979・大修館書店)』▽『戸部実之著『バスク語辞典』(1996・泰流社)』▽『吉田浩美訳注『バスクの伝説――バスク語を読む』(1994・大学書林)』
バスク地方に行われる系統不明の言語。スペイン側の四つの県とフランス側の三つの県をあわせて言語人口は50万~60万人であるが,人口比ではスペイン側がその80%を占める。スペインのビルバオにはバスク語アカデミー(1918創立)がある。バスク語は5個の母音音素と20個の子音音素をもつ。グルジア語や他のカフカス諸語と同様に能格ergativeという特別な格があり,他動詞の主語に用いられる。例:Aita-k semea maite du.〈父は息子を愛する〉において,aita-k(父,-kは能格語尾)は能格,semea(息子,-aは定冠詞,格語尾ゼロ)は主格に置かれている。印刷された最古の文献としては1545年にサン・ミシェルの司祭ベルナト・デチェパレが著した1162行の詩集《オレルキアクOlerkiak》(olerkiは詩,-akは複数定冠詞)がある。
執筆者:下宮 忠雄
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