脈波(読み)ミャクハ(その他表記)pulse wave

デジタル大辞泉 「脈波」の意味・読み・例文・類語

みゃく‐は【脈波】

心臓の拍動に応じて伝わる末梢血管の圧変化または容積変化を測定したもの。動脈硬化の程度を調べるPWV検査で用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「脈波」の意味・わかりやすい解説

脈波 (みゃくは)
pulse wave

心臓が収縮し,左心室から血液が大動脈に駆出されると大動脈内圧に変化が生じ,さらにこの圧変動は末梢動脈に伝達される。このような心臓の血液駆出に伴う血管の拍動(脈拍)変化をグラフにしたものを脈波という。脈波には圧脈波と容積脈波がある。圧脈波とは,動脈内に生ずる圧変動を直接動脈内に挿入した圧トランスジューサー(圧変換器)により記録したものである。動脈圧の変化は血管の外側からも測定が可能である。この圧変動を記録したものを側脈波という。側脈波の測定はやはり圧トランスジューサーにより行うが,これは血管内に直接挿入した場合と異なり,動脈壁が内圧によって外方にふくらんだ際の圧と同時に,血管自体の拍動による偏位によって生じた圧も合わせてトランスジューサーを用いて測定したものである。一般臨床で記録される代表的側脈波が頸動脈でとらえた頸動脈波であり,大動脈圧波形と似ている。頸動脈波は,大動脈弁疾患を中心とする血液駆出状態に変化をきたす心疾患の診断に有用である。また,動脈硬化の程度を診断するうえで脈波伝達速度が有用とされる。容積脈波は,指先や足指先の末梢動脈における循環血液量増減に伴う容積変動を波形にしたものであり,末梢動脈における循環機能障害を診断するうえで有用である。
心機図
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