改訂新版 世界大百科事典 「心機図」の意味・わかりやすい解説
心機図 (しんきず)
mechanocardiography
心臓の収縮に伴い大動脈と肺動脈に血液が送り出され,一方,大静脈と肺静脈からの血液が右(左)心房から右(左)心室へと流入することにより心室の拡張が生ずる。これら一連の心臓および大血管の拍動に伴う機械的振動は体外から感知することができる。心機図とは,これら心臓および大血管の機械的興奮過程をグラフ上に記録したものである。通常,心臓の電気的興奮過程をグラフにした心電図と同時に記録する。心機図は,心臓の心尖部(通常は左室心尖部)の拍動を図示した心尖拍動図,頸動脈の拍動をグラフにした頸動脈波,頸静脈の拍動を図示した頸静脈波からなり,心音図と組み合わせて記録する。心機図を記録することによって,心臓の機械的興奮過程を比較的容易に検討できることから,本法は非観血的心機能検査法として現在広く臨床一般に用いられている。
執筆者:椎名 明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報