日本大百科全書(ニッポニカ) 「脱レジ袋」の意味・わかりやすい解説
脱レジ袋
だつれじぶくろ
省エネルギー、地球温暖化対策の一つ。スーパーマーケットやコンビニエンス・ストアから商品を持ち帰るために配布される袋(レジ袋)の使用量を減らすため、削減目標を設けて国や地域ごとに有料化や使用制限などの対策を講じることである。世界的に使用されているレジ袋はおもにポリエチレンからつくられており、省資源や温室効果ガス発生の抑制、ゴミの減量化などの観点から、使用量削減が図られている。また、捨てられて海に流出してしまったレジ袋は深刻な海洋汚染の原因の一つとなって、海洋生物に巻きつく、海洋生物が飲み込んでしまうなどの被害をもたらしている。
2013年にヨーロッパ連合(EU)の執行機関であるヨーロッパ委員会が包装ゴミ指針を改正し、EU域内のレジ袋を8割削減するという方針を発表した。2010年におけるEU域内でのレジ袋使用量は、デンマークやフィンランドなど北欧諸国では、一人当り年間4枚程度と少ないが、ポルトガル、ポーランド、スロバキアなどの東南ヨーロッパでは年間460枚超となっている。EU全域平均では一人当り198枚で、これを40枚以下に減らすことを目ざし、国ごとに有料化や使用制限などの措置を講じる。
日本のレジ袋使用量は年間300億枚以上で、国民一人当り年間300枚程度使っていると推定される。脱レジ袋の動きは2002年(平成14)に東京都杉並区のレジ袋税導入が話題となり、これをきっかけにレジ袋有料化や、買い物の際に消費者がエコバッグなどを持参する試みが広がった。2006年には容器包装リサイクル法が改正され、年間50トン以上の容器包装を用いる事業者には、排出抑制への取り組み状況の国への報告が義務づけられた。買い物袋持参運動などを行ってきた大手スーパーマーケットの西友やイオンでは、全店舗でレジ袋の無料配布を中止し、バイオマス素材を使った袋を有料で提供している。
[編集部]