容器包装リサイクル法(読み)ようきほうそうりさいくるほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「容器包装リサイクル法」の意味・わかりやすい解説

容器包装リサイクル法
ようきほうそうりさいくるほう

容器包装廃棄物について、消費者、市町村、事業者の3者が責任を分担することによってリサイクル(再商品化)を促進し、一般廃棄物の減量、再生資源の十分な利用を図ることを目的に1995年(平成7)に公布された法律の通称。正式名称は「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」。一般廃棄物のうち、容器包装廃棄物の占める割合は容積比で約6割、重量比で2~3割(1995年厚生省調べ)に達していることから、3者がそれぞれの責任を果たすことによって、ごみ問題の解決や再商品化に大きく貢献することになる。

 3者の役割分担の内容は、
(1)消費者による分別排出
(2)市町村の分別収集
(3)事業者の再商品化
である。

 それまで、多くの自治体ではリサイクル活動に取り組んでいるにもかかわらず、分別収集された資源ごみの引き取りが拒否されたり、逆有償(資源ごみを引き渡すときに売却できず、逆に引き取り費用を支払うこと)となったりし、結局通常のごみと同様に焼却処理、埋立処分されるという事態が発生していた。この法律は、まず市町村が何をリサイクル対象として分別収集するかを決め、消費者はその容器包装ごみの分別排出に協力し、市町村は分別収集し、売却できない場合には事業者はその分別収集された容器包装を引き取り、再生利用をしなければならないという一定の責任を負うリサイクルシステムの導入を図るものである。再商品化義務の履行に当たっては、もっとも一般的な方法は指定法人日本容器包装リサイクル協会への委託により実施することである。

 この法律は1997年4月1日より本格施行され、ガラスびん3種(無色茶色、その他の色)、ペットボトルの4品目が再商品化義務対象となった。2000年4月1日より全面施行され、段ボール、紙パック以外の「その他紙」、ペットボトル以外の「その他プラスチック」が再商品化義務対象となった。なお、アルミ缶、スチール缶、紙パック、段ボールについては、分別回収された後に比較的困らず売却されることから再商品化義務の対象外となっている。

 法の全面施行後、分別収集をしている市町村の割合は、環境省調査によると2003年でガラス製容器、ペットボトルともに90%以上であったのに対し、紙製容器包装は24%、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装は53%程度にとどまっていた。その後2008年では紙製容器包装で36%、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装で73%と増加傾向にある。

 その一方で、家庭ごみ中の容器包装廃棄物の割合は2008年度調査で容積比62%、水分を含んだ湿重量比で23%と、法施行前とほとんど変化なく、排出の抑制が今後の課題となっている。その他にも市町村の分別収集や選別保管にかかる費用負担の増加、処理費用の負担義務を果たさない業者の存在、収集されたペットボトルの国外流出などの問題がある。これらの問題に対応するため、改正法が2006年6月に成立した。この改正で、質の高い分別収集・再商品化の推進を図るため、事業者が市町村に資金を拠出する仕組みを創設したことは特筆すべき点である。

[田中 勝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「容器包装リサイクル法」の意味・わかりやすい解説

容器包装リサイクル法
ようきほうそうリサイクルほう

平成7年法律112号。容器包装廃棄物の再商品化を義務づける法律。正式名称は「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」。「容リ法」とも略される。1995年成立,1997年施行,2000年に完全施行された。一般廃棄物を減らすうえで,容量の約 56%,重量の約 23%を占める容器包装廃棄物の処理が緊急課題となり,缶やペットボトル,プラスチック容器などを再商品化し,資源を有効利用するために制定された。国が年度ごとに再商品化義務総量を設定し,消費者はごみを分別して出し,市町村が分別収集にあたり,事業者はそれを再商品化するという基本的な仕組みがつくられた。施行 10年後の見直し検討が規定されており,2006年に成立した改正法で,その目的として排出の抑制が新たに加えられた。(→リサイクル

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