化学辞典 第2版 「脱水素触媒」の解説
脱水素触媒
ダッスイソショクバイ
dehydrogenation catalyst
有機化合物の脱水素反応を促進する触媒.脱水素反応は,平衡論的要請から高温で水蒸気希釈下に行うのが通例であり,触媒には耐熱性が要求される.ブタンの脱水素にはCr2O3-Al2O3-K2O系触媒,ブテン,エチルベンゼンなどの脱水素にはFe2O3の入った触媒(72質量%MgO,18質量%Fe2O3,5質量%CuO,5質量%K2O,あるいは93質量%Fe2O3,5質量%Cr2O3,2質量%K2O,またはCa8Ni(PO4)6など)が使われている.また,脱水素を酸化的に行う酸化脱水素触媒としては,アリル酸化触媒が適当である.シクロパラフィンの脱水素には上記の酸化物触媒のほか,白金,パラジウムなど金属触媒が有効である.アルコール類の脱水素はCuO-Cr2O3系触媒あるいは金属銅,銅合金などが使われる.ほかに,酸化物では塩基性酸化物がアルコール類の脱水素に触媒活性を示す.炭化水素とアンモニアからニトリルへの脱水素縮合には,アルミナ触媒が用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報