日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチルベンゼン」の意味・わかりやすい解説
エチルベンゼン
えちるべんぜん
ethylbenzene
代表的なアルキルベンゼンで、キシレンの異性体。フェニルエタンともいう。
芳香族炭化水素に特有のにおいをもつ無色液体。石油のC8留分の成分だが、各成分は沸点が接近しているので分離はむずかしい。工業的には塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、リン酸などの触媒の存在下、ベンゼンにエチレンを吹き込んで製造する。酸化鉄‐三酸化クロム‐炭酸カリウム系脱水素触媒の存在下で600℃前後の高温に加熱すると、エチル基CH3-CH2-がビニル基CH2=CH-に変化してスチレンになる。この方法により、合成樹脂や合成ゴムの原料として重要なスチレンが工業的に製造される。エチルベンゼンは酸化すると安息香酸を与え、光塩素化でα(アルファ)-位が塩素化される。
[向井利夫]
[参照項目] |
[補完資料] |