日本大百科全書(ニッポニカ) 「腐敗病」の意味・わかりやすい解説
腐敗病
ふはいびょう
レタス、ショウガ、ハス(蓮根(れんこん))の病気。レタス腐敗病は結球した葉が外側から褐色になって腐る。病原はシュドモナス属Pseudomonasの3種類の細菌である。ショウガ腐敗病は根が柔らかくなって腐り、悪臭を放つようになり、地上部も黄色になって枯れる。軟腐(なんぷ)病菌およびシュドモナス属の細菌が病原で、ショウガの重要な病気である。ハス腐敗病は地下茎の維管束部が褐色になって腐る。病原は前二者とは異なり、フザリウム属Fusariumの2、3種のカビの寄生によりおこる。
このような特定の作物の病気のほか、作物が細菌または糸状菌(カビ)の寄生によって組織が腐る病気を総称して腐敗病ということがある。腐敗には柔らかくなって腐る軟腐と、乾いてミイラ状になる乾腐(かんぷ)とがある。軟腐病は軟腐病細菌の寄生によっておこり、野菜類に多く発生し、従来は腐敗病ともいわれたが、現在は軟腐病とよぶことになっている。乾腐はおもにフザリウム属のカビの寄生によるもので、球根類などによく発生し、ハスでは腐敗病といわれるが、ほかはいずれも乾腐病とよばれる。
[梶原敏宏]