膠様癌(読み)こうようがん(その他表記)gelatinous cancer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「膠様癌」の意味・わかりやすい解説

膠様癌
こうようがん
gelatinous cancer

粘液癌ともいう。癌の病理学上の分類の一種で,円柱上皮癌などの腺癌の癌細胞が粘液変性に陥ったもの。この種の癌は胃に多く,直腸などにも認められている。多量の粘液物質を生じた結果,ぶくぶくしていて,にかわあるいはゼリーのようにみえるのでこの名がある。大小空洞があり,胃壁では2~3cmの厚さに達することが少くない。癌細胞は形がだんだんくずれて,あるものは基質からまったく剥離し,遊離したものは円形となり,原形質中に粘液の球を含んだ印環細胞 (印章を刻した指輪に似ているのでこの名がある) となって,病巣内の粘液状の物質の中に浮んでいる。進行したものは,細胞がまったく破壊されて痕跡をとどめない部分もある。予後は不良である。

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