ゼラチンや寒天の凝固性を利用してつくった冷菓、冷製料理の総称。透明な美しさをもっているので、菓子や料理の表面にかけて光沢を出し、さらにそれらを美化する。ゼリーの原料は植物性と動物性の2種類があり、植物性では、果実に含まれているペクチンの凝固性が果物類を煮るときの凝固性を助ける。動物性では、動物の骨、皮、腱(けん)などの結締組織を原料とするもので、ゼリー料理の主役をなしている。
種類としては、固形状のものと粉末状のものがある。固形状のものはそのまま水に浸して、水を吸収させて使用する。粉末状のものは、その量の3倍から5倍の水を加えて、水を吸収したところでそのまま湯煎(ゆせん)にし、溶かして使用する。調理の際注意を要する点は、ゼラチンは60℃で溶ける性質をもっているので、70~80℃くらいの熱湯で溶かす。煮立てて溶かす必要はない。
ゼラチンを用いて固める材料は、ワインなどの洋酒類、キュラソー、ペパーミント、果汁、果実、牛乳、コーヒーなど。また洋酒と果実、牛乳と果実の組合せでつくることもある。牛乳、コーヒー、果実、果汁などを別々に凝固させ、それらを型に互いに入れ混ぜると、マーブルのように美しい変化に富んだ菓子ができる。料理の場合は、カニ、エビ、白身の魚、鶏肉、卵など淡泊な材料をゼラチンで固め、「ゼラチン寄せ」「寒天寄せ」として利用される。溶けやすいアイスクリームなどにも凝固性を利用して、少しでも長く保つために使用される。コンソメなどにもゼラチンを入れ、滑らかなゼラチンでスープの舌ざわりをよくするゼリーコンソメとして利用されるなど、利用度は高い。
[小林文子]
動物性のゼラチン,植物性のペクチンや寒天を利用して冷やし固めた菓子や料理。英語のジェリーjellyとフランス語のジュレgeléeは,ともにラテン語のgelare(凝(こご)る,凍るの意)から派生した言葉で,半透明で軟らかく,弾力性に富んだものを指す。ゼラチンは,ウシ,ブタ,クジラなどの骨や皮を煮出してとったコラーゲンを精製したもので,板状と粉末状のものがある。ペクチンは植物の細胞膜に含まれている成分で,酸と糖と水を加えて加熱冷却すると凝固する性質がある。寒天は酸にあうと固まりにくく,かつ透明感,弾力性に欠けるが,一度ゼリー化すると比較的高温(70~80℃)でも融解しない利点がある。
甘味のないゼリーやゼリー寄せはアスピックaspicともいう。肉,魚などでとった澄んだだし汁を調味して,これにゼラチンを加えてそのまま固めたものは,小さなさいの目に切って付合せに用いることが多い。このゼリー液でフォアグラ,イセエビ,その他の材料を寄せ固めたものは独立した料理とされる。甘味のものは,砂糖を加えたゼリー液に果汁,牛乳,各種リキュール,刻んだ果物などを加えて冷やし固め,デザートに用いる。なお,一般にゼリーと呼ばれているゼリー菓子はキャンディの一種で,砂糖と水あめの溶液にゼラチンやペクチン,寒天などを加えて流し固めたものであり,ゼリービンズはそうしたゼリーを芯にして糖衣をかけたものである。
執筆者:辻 静雄
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…ヌガーは,煮詰めた砂糖と水あめにゼラチンや卵白を加えて気泡を含ませ,ナッツ類,果物の砂糖漬などを加えて固めたもので歯ざわりが柔らかい。(3)その他 キャンディゼリーは単にゼリーとも呼ばれ,砂糖,水あめを煮詰め,ゼラチン,寒天などを加えたもので,グラニュ糖をまぶしたり,オブラートで包んで市販されている。フォンダンは,煮詰めた糖液を急激に冷まし,白くクリーム状になるまで攪拌(かくはん)して砂糖の結晶化を促進させたもので,そのままケーキのコーティングに用い,また型に流し入れて固める。…
…果実や果肉は原形を保たなくてもよく,ふつうは煮くずれて混濁している。ゼリー状になるのは,果実中のペクチンと酸に砂糖が作用することによるもので,糖度は65%内外である。果実や果肉の形が残っているものはプレザーブpreserveという。…
※「ゼリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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