ゼリー(読み)ぜりー(英語表記)jelly 英語

デジタル大辞泉 「ゼリー」の意味・読み・例文・類語

ゼリー(jelly)

《「ジェリー」とも》
ゼラチン寒天ペクチンなどの凝固する性質を利用して材料を固めた冷菓や冷製料理ジュレ 夏》「うす茜ワイン―は溶くるがに/草城
肉汁などの煮こごり
コロイド溶液がそのまま固まりになったもの。1に似た状態のもの。

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精選版 日本国語大辞典 「ゼリー」の意味・読み・例文・類語

ゼリー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] jelly )
  2. ゼラチンを溶かし、砂糖や果汁などを加えて型に流し、冷やし固めて作った食品。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「缶詰屋の店頭には何れも缶詰の外に酢漬、糠蔵、蜜漬、油漬、煮膏(ジャム)、凍膏(ゼリー)等の諸物を備へあれども」(出典風俗画報‐一三四号(1897)人事門)
  3. くだものの汁に砂糖を加え、煮つめて作った菓子
  4. 肉汁の煮こごり。
  5. コロイド溶液がその分散媒を含んだまま弾性的な固まりとなった状態。また、そのもの。狭義のゲルに等しい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼリー」の意味・わかりやすい解説

ゼリー
ぜりー
jelly 英語
gelée フランス語

ゼラチンや寒天の凝固性を利用してつくった冷菓、冷製料理の総称。透明な美しさをもっているので、菓子や料理の表面にかけて光沢を出し、さらにそれらを美化する。ゼリーの原料は植物性と動物性の2種類があり、植物性では、果実に含まれているペクチンの凝固性が果物類を煮るときの凝固性を助ける。動物性では、動物の骨、皮、腱(けん)などの結締組織を原料とするもので、ゼリー料理の主役をなしている。

 種類としては、固形状のものと粉末状のものがある。固形状のものはそのまま水に浸して、水を吸収させて使用する。粉末状のものは、その量の3倍から5倍の水を加えて、水を吸収したところでそのまま湯煎(ゆせん)にし、溶かして使用する。調理の際注意を要する点は、ゼラチンは60℃で溶ける性質をもっているので、70~80℃くらいの熱湯で溶かす。煮立てて溶かす必要はない。

 ゼラチンを用いて固める材料は、ワインなどの洋酒類、キュラソーペパーミント、果汁、果実、牛乳コーヒーなど。また洋酒と果実、牛乳と果実の組合せでつくることもある。牛乳、コーヒー、果実、果汁などを別々に凝固させ、それらを型に互いに入れ混ぜると、マーブルのように美しい変化に富んだ菓子ができる。料理の場合は、カニ、エビ、白身の魚、鶏肉、卵など淡泊な材料をゼラチンで固め、「ゼラチン寄せ」「寒天寄せ」として利用される。溶けやすいアイスクリームなどにも凝固性を利用して、少しでも長く保つために使用される。コンソメなどにもゼラチンを入れ、滑らかなゼラチンでスープの舌ざわりをよくするゼリーコンソメとして利用されるなど、利用度は高い。

[小林文子]

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改訂新版 世界大百科事典 「ゼリー」の意味・わかりやすい解説

ゼリー

動物性のゼラチン,植物性のペクチンや寒天を利用して冷やし固めた菓子や料理。英語のジェリーjellyとフランス語のジュレgeléeは,ともにラテン語のgelare(凝(こご)る,凍るの意)から派生した言葉で,半透明で軟らかく,弾力性に富んだものを指す。ゼラチンは,ウシ,ブタ,クジラなどの骨や皮を煮出してとったコラーゲンを精製したもので,板状と粉末状のものがある。ペクチンは植物の細胞膜に含まれている成分で,酸と糖と水を加えて加熱冷却すると凝固する性質がある。寒天は酸にあうと固まりにくく,かつ透明感,弾力性に欠けるが,一度ゼリー化すると比較的高温(70~80℃)でも融解しない利点がある。

 甘味のないゼリーやゼリー寄せはアスピックaspicともいう。肉,魚などでとった澄んだだし汁を調味して,これにゼラチンを加えてそのまま固めたものは,小さなさいの目に切って付合せに用いることが多い。このゼリー液でフォアグラ,イセエビ,その他の材料を寄せ固めたものは独立した料理とされる。甘味のものは,砂糖を加えたゼリー液に果汁,牛乳,各種リキュール,刻んだ果物などを加えて冷やし固め,デザートに用いる。なお,一般にゼリーと呼ばれているゼリー菓子はキャンディの一種で,砂糖と水あめの溶液にゼラチンやペクチン,寒天などを加えて流し固めたものであり,ゼリービンズはそうしたゼリーを芯にして糖衣をかけたものである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼリー」の意味・わかりやすい解説

ゼリー
jelly

ペクチン,ゼラチン,寒天,アルギン酸などの膠質分を主体として固めた食品。本来はペクチン質に富む果実を煮てペクチンを溶出させ,これに砂糖を加えて煮つめた果実ゼリーをゼリーと呼んでいたが,ゼラチンあるいは寒天に砂糖,果汁,香料などを加えて凝固させたゼラチンゼリー,寒天ゼリーなどの人工ゼリーも一般にゼリーと呼ばれている。果実ゼリーは製品中のペクチンの量と質,および酸と砂糖の量の割合によってさまざまな固さのゼリーができる。製品の糖度が 65%前後のものでも有機酸の添加により,ペクチン含量 0.5~1%で強く固まる。ゼラチンは3~5%のゼラチン溶液に砂糖,果汁あるいは生クリームや卵白を泡立てたものを加えて冷却凝固させる。ゼラチンゼリーは腰が強いのが特徴で,市販されている多くのものはこれである。寒天ゼリーは酸性のときには固まりにくいが,比較的高温でも溶けないので缶詰などに使用される。

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百科事典マイペディア 「ゼリー」の意味・わかりやすい解説

ゼリー

(1)果汁やシロップにゼラチンや寒天を加え,型に入れて凝固させた菓子。果実を刻み入れたりクリームを配したりする。キャンディ類のゼリーは糖分を多くし,かために凝固させたもので,砂糖をかけたゼリービンズなどがある。果実ゼリー(ペクチンゼリー)は酸味ある果実に砂糖を加えて煮つめ,自然のペクチン質で固めたものでジャムに似る。(2)冷製料理の一種。アスピックが代表的。スープや煮汁などをゼラチンで固めたもの,また肉汁を煮つめて冷やし,自然のゼラチン質で固めたものなどがある。
→関連項目キャンディ

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「ゼリー」の解説

ゼリー【jelly】

ゼラチンや寒天を用いて、または肉や魚に含まれるゼラチン成分を煮出した汁を冷やし固めて作る、弾力性のある洋菓子または料理。特に、果汁・ワイン・コーヒーなどに砂糖を加え、ゼラチンを用いて冷やし固めた菓子をさすことが多い。
◆「ジェリー」「ジュレ」ともいう。「ジュレ」はフランス語。

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栄養・生化学辞典 「ゼリー」の解説

ゼリー

 ゼラチン,寒天,ペクチンなどで作るゲル状の食品.

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世界大百科事典(旧版)内のゼリーの言及

【キャンディ】より

…ヌガーは,煮詰めた砂糖と水あめにゼラチンや卵白を加えて気泡を含ませ,ナッツ類,果物の砂糖漬などを加えて固めたもので歯ざわりが柔らかい。(3)その他 キャンディゼリーは単にゼリーとも呼ばれ,砂糖,水あめを煮詰め,ゼラチン,寒天などを加えたもので,グラニュ糖をまぶしたり,オブラートで包んで市販されている。フォンダンは,煮詰めた糖液を急激に冷まし,白くクリーム状になるまで攪拌(かくはん)して砂糖の結晶化を促進させたもので,そのままケーキのコーティングに用い,また型に流し入れて固める。…

【ジャム】より

…果実や果肉は原形を保たなくてもよく,ふつうは煮くずれて混濁している。ゼリー状になるのは,果実中のペクチンと酸に砂糖が作用することによるもので,糖度は65%内外である。果実や果肉の形が残っているものはプレザーブpreserveという。…

※「ゼリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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