自立生活センター(読み)じりつせいかつせんたー

知恵蔵 「自立生活センター」の解説

自立生活センター

障害をもつ人が通常のアパートなどで独立した生活を営むために、障害者自ら(当事者)が中心となって各種のサポートを提供する民間機関。自立生活プログラムの提供、自立生活を目指す障害者の仲間、有償介助人、ボランティア、権利擁護(アドボカシー)、公的制度情報などの資源・ネットワークを提供している。1972年に米国・カリフォルニア大学バークレー校において、障害をもった学生の受け入れ・支援の「障害学生プログラム」実施のために自立生活センターが設立されたのが始まり。その「自立生活運動」「IL(independent living)運動」の理念が世界に広がった。自立生活の準備や過程では、健常者の専門家でなく、当事者が援助者となる「ピアカウンセリング」がIL運動の主体性の理念を象徴する形で実践された。介助者の都合とやり方で「受ける」という従来の関係性から、時間や介助内容を当事者が主体的に「コントロールする」関係性への変革など、他者の介助を得ての自立というライフスタイルを提示し、従来の「自立」観の転機となった。日本では、86年に東京都八王子市で「ヒューマンケア協会」が設立され、91年には「全国自立生活センター協議会(JIL=ジル)」が結成され、2007年9月現在、全国で121のセンターが加盟している。

(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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