舟寄館跡（読み）ふなよせやかたあと

日本歴史地名大系

舟寄館跡
ふなよせやかたあと

• 福井県：坂井郡
• 丸岡町
• 舟寄村
• 舟寄館跡

[現在地名]丸岡町舟寄

舟寄の東側にある朝倉氏家臣黒坂備中守の館跡。明治初年の地籍図によると、字館（たち）に南北七五メートル、東西八四メートルの館第をめぐって幅約一八メートルの掘割が水田として残り、館の西側に館（たち）ノ前（まえ）、東に館（たち）ノ後（うしろ）の字名が残る。南北に走る旧北陸街道の西方、やや奥まった所に位置するが、交通の要地にあたり、南東に東古町（ひがしふるまち）・西古町・法華坊（ほつけぼう）の字名が残るから、館を囲んで市場集落的町場の存在が推測される。「越前国城蹟考」は館跡を記して「古記ニ出ル長崎城ハ舟寄歟」と記す。

「朝倉始末記」によると、天文二一年（一五五二）一向一揆攻撃のため朝倉宗滴を総大将として加賀に侵攻した軍勢のうち、堀江景忠の麾下に黒坂勘解由左衛門尉景久がみえるが、この景久が備中守と考えられ、元亀二年（一五七一）没した（現春江町黒坂家位牌）。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」