加賀(読み)カガ

デジタル大辞泉 「加賀」の意味・読み・例文・類語

かが【加賀】

旧国名北陸道7か国の一。明治16年(1883)に能登国と合わせて石川県となり、その南部を占める。
石川県南西部、日本海に面する市。江戸時代加賀藩の支藩、大聖寺藩の前田氏十万石の城下町絹織物が繁栄。加賀山中漆器九谷焼の産地。鉄工業・機械工業も発達。平成17年(2005)10月、山中町と合併。人口7.2万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「加賀」の意味・読み・例文・類語

かが【加賀】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 北陸道七か国の一国。現在の石川県の南半部にあたる。古くは越国に属し、大化改新で越前国に編入され、弘仁一四年(八二三)越前国から分かれて加賀国となる。室町時代に富樫氏が守護大名として成長したが一向一揆により倒れ、一向宗門徒が支配。江戸時代は前田氏が領有。廃藩置県以後、明治一六年(一八八三)能登国と合わせて石川県となる。加州。賀州。
    2. [ 二 ] 石川県南西端の地名。江戸時代は加賀藩の支藩(大聖寺藩)前田氏一〇万石の城下町。片山津、山代の温泉があり、海岸は越前加賀海岸国定公園に属する。昭和三三年(一九五八)市制。
    3. [ 三 ] 石川県の中部にあった郡。現在の河北郡にあたる。古くは手取川以北を占めていたが、弘仁一四年(八二三)石川郡を分離。室町中期ごろ、河北郡と改称。
    4. [ 四 ] 旧日本海軍の航空母艦。昭和三年(一九二八)完工。基準排水量三万八千トン。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. かがぎぬ(加賀絹)」の略。
      1. [初出の実例]「かがの上品五十疋」(出典:義経記(室町中か)七)
    2. かがぶし(加賀節)」の略。
    3. かがまい(加賀米)」の略。
      1. [初出の実例]「年取物三俵成程加賀の上々御取内一俵は新米」(出典:浮世草子・万の文反古(1696)一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「加賀」の意味・わかりやすい解説

加賀(市)
かが

石川県南西端にある市。1958年(昭和33)大聖寺(だいしょうじ)、山代(やましろ)、片山津(かたやまづ)、動橋(いぶりばし)、橋立(はしたて)の5町と三木(みき)、三谷(みたに)、南郷(なんごう)、塩屋(しおや)の4村が合併して市制施行。2005年(平成17)江沼(えぬま)郡山中町(やまなかまち)を合併。市名は旧国名加賀にちなむ。大聖寺川、動橋川の下流域の低湿地を占め、柴山潟(しばやまがた)を抱き、西は日本海に面する。加賀温泉郷に属す山代温泉片山津温泉、山中温泉もある。JR北陸本線、国道8号、305号、364号、北陸自動車道が通じ、小松空港に隣接する。柴山貝塚などの縄文遺跡、古墳群(狐山(きつねやま)古墳、法皇山(ほうおうざん)横穴古墳群その他)があり、古代の廃寺跡も多く、菅生石部(すごういそべ)神社ほか式内社9社や駅、津も設けられ、古くから開けた地である。篠原(しのはら)は木曽義仲(きそよしなか)が平家を破った古戦場で、大聖寺には加賀藩の支藩、大聖寺藩10万石の城が置かれた。江戸時代から絹織物の産地で、山代では九谷焼(くたにやき)を産し、いまに続く。塩屋、瀬越(せごえ)、橋立には北前船の海商が多数輩出し、明治中期まで大阪・北海道間を交易し栄えた。現在は合成繊維織物、チェーン、スポーク車輪を中心部から支えている針金棒)など自転車部品工業が発達する。中心地は大聖寺で、江沼神社裏手に国指定重要文化財の長流亭(ちょうりゅうてい)がある。山田町の中央公園には国指定重要有形民俗文化財の白山麓(はくさんろく)山村の民家と山村生産用具がある。海岸は越前加賀海岸国定公園(えちぜんかがかいがんこくていこうえん)に属する。2月10日の竹割祭(菅生石部神社)は有名。また、大聖寺の北西約4キロメートルのところにある片野鴨池(かたのかもいけ)は、1993年(平成5)ラムサール条約登録湿地となった。面積305.87平方キロメートル、人口6万3220(2020)。

[矢ヶ崎孝雄]

『『加賀市史』全6巻(1975~1979・加賀市)』『『加賀市の歴史』(1978・加賀市)』


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改訂新版 世界大百科事典 「加賀」の意味・わかりやすい解説

加賀[市] (かが)

石川県の南西端に位置する市。2005年10月旧加賀市と山中(やまなか)町が合体して成立した。人口7万1887(2010)。

加賀市北部の旧市。1958年,大聖寺(だいしようじ),山代,片山津,動橋(いぶりばし),橋立の5町と三木,三谷,南郷,塩屋の4村が合体,市制。人口6万8368(2000)。市域を大聖寺川および動橋川が貫流し,大半は平たんな江沼平野と加賀三湖を含む低地からなり,東部と南部は丘陵地帯をなす。中世には白山五院の一つ大聖寺の門前町として栄え,近世には前田支藩(大聖寺藩)10万石の城下町として発達した。産業では加賀羽二重の伝統を今に伝える繊維と機械がおもなものである。その他近世以来の伝統産業として九谷焼,漆器,瓦製造も行われている。片山津,山代など全国に知られた温泉のほか史跡,古社寺も数多く,海岸線一帯は越前加賀海岸国定公園に指定され,観光資源に恵まれている。国指定の史跡として狐山古墳,法皇山横穴古墳があり,篠原町および犬ノ沢のキンメイチク,塩屋町の鹿島の森はいずれも天然記念物に指定されている。市の中央をJR北陸本線,国道8号線が,北部を北陸自動車道が走る。

加賀市南部の旧町。旧江沼郡所属。人口1万0195(2000)。加賀山地を北流する大聖寺川の上・中流域を占め,川沿いに国道364号線が通じる。北陸の名湯山中温泉を中心に市街地が発達する。温泉は僧行基の発見という伝説をもち,古くから白鷺ノ湯,菊ノ湯,葦ノ湯があって蓮如や芭蕉らも訪れている。泉質は含食塩セッコウ泉,泉温は27~51℃。1931年の大火後近代的設備をもつ旅館街となった。もと湯治客のみやげとしてつくられた山中漆器は,ケヤキの素地をろくろで細工し漆を塗ったもので,現在は輸出もしている。また《山中節》と九谷焼が生まれた地でもある。山間地では木材生産,シイタケ栽培を行うが,過疎化が著しい。鶴山渓,山中温泉スキー場,栢野(かやの)の大杉(天),八幡神社の大杉(天)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「加賀」の意味・わかりやすい解説

加賀
かが

旧日本海軍の航空母艦 (空母) 。 1928年3月に『赤城』に次ぎ海軍の空母の第3艦として完成。起工時は戦艦『加賀』であったのが,ワシントン条約によって改造。当初は3層の飛行甲板をもっていたが,35年に1枚甲板に改装,また機関を換装して速力を増し,優秀な大型空母となった。基準排水量3万 8200t,速力 28.3kn。飛行機搭載数は常用機 72,補用機 18。真珠湾作戦に参加。 42年6月5日,ミッドウェー海戦で沈没。

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デジタル大辞泉プラス 「加賀」の解説

加賀

大日本帝国海軍の航空母艦。加賀型戦艦からの改造空母。1928年3月改造完了。真珠湾攻撃に参加。ミッドウェー海戦にて沈没(1942年)。

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世界大百科事典(旧版)内の加賀の言及

【大聖寺】より

…加賀国(石川県)江沼郡の城下町。地名は白山五院の一つ,大聖寺があったことによるという。…

※「加賀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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