朝倉始末記(読み)あさくらしまつき

日本歴史地名大系 「朝倉始末記」の解説

朝倉始末記
あさくらしまつき

写本 福井県立図書館松平文庫・国会図書館ほか

解説 著者・成立年ともに不詳。越前戦国大名朝倉氏興亡史を主題としたもので、越前の戦国史を調査・研究するための基本史料。原本は不明で、写本一五種が流布するが、前田育徳会所蔵の「加越闘諍記(二巻二冊)・「越州軍記(四巻四冊、四巻に天正五年四月付の奥書あり)をあわせたものが祖型と考えられる。本巻ではこれらをもとに加筆訂正したとされる諸本のうち、かつて福井市心月寺(朝倉氏菩提寺)に蔵されていたものの写本の系統を心月寺本とした。

活字本 日本思想大系

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改訂新版 世界大百科事典 「朝倉始末記」の意味・わかりやすい解説

朝倉始末記 (あさくらしまつき)

越前の戦国大名朝倉氏の興亡を記した軍記物語。《朝倉越州記》《朝倉記》などさまざまな呼称の類本がある。巻数も3巻から11巻まで,内容も重複しながらさまざまである。朝倉氏と加賀一向一揆との抗争を記した《賀越闘諍記》と,織田信長の越前征服を記す《越州軍記》とを合本したものが原型と考えられ,天正5年(1577)ころ朝倉氏の旧臣によって成立したと考えられる。内容は比較的正確。《史籍集覧》《日本思想大系》17所収。
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百科事典マイペディア 「朝倉始末記」の意味・わかりやすい解説

朝倉始末記【あさくらしまつき】

越前の戦国大名朝倉氏の興亡を記した軍記物語で,越前戦国期の基本史料。朝倉氏と加賀一向一揆の抗争を記した《加越闘諍記(かえつとうじょうき)》と,織田信長の越前征服を記した《越州軍記》を合本したものが祖型とみられ,1577年ころ朝倉氏の旧臣によって成立したとも推測される。類本に《朝倉記》《朝倉越州記》などがある。《史籍集覧》《日本思想大系》所収。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朝倉始末記」の意味・わかりやすい解説

朝倉始末記
あさくらしまつき

越前(えちぜん)(福井県)の戦国大名であった朝倉氏の興亡を記した戦記物語。内容はおもに、朝倉氏と隣国加賀(かが)の一向一揆(いっこういっき)との抗争を記した『賀越闘諍記(かえつとうじょうき)』と、織田信長の朝倉氏攻略を記した『越州(えっしゅう)軍記』との二つからなる。朝倉氏滅亡まもないころ、朝倉氏旧臣の手によって書かれたものと考えられる。記載された記事は、台頭期の年代に朝倉氏を修飾するための改竄(かいざん)のあるほかは比較的正確である。多くの写本があるが、刊本としては『日本思想大系 17 蓮如(れんにょ)一向一揆』(岩波書店)、『史籍集覧 6』などがある。

[水藤 真]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朝倉始末記」の意味・わかりやすい解説

朝倉始末記
あさくらしまつき

越前の戦国大名朝倉氏の興亡記。8巻。著者および成立年代未詳。朝倉氏の発生 (すなわち始祖表米親王の事績) から天正1 (1573) 年8月,一乗谷で朝倉義景が滅ぼされるまでを記す。朝倉氏のおもな歴史のうち,朝倉氏と足利,織田両氏との関係,および加賀,越前両国の一向一揆に関する記事を主とする。『史籍集覧』に収録。

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世界大百科事典(旧版)内の朝倉始末記の言及

【朝倉家記】より

…《朝倉始末記》の異本の一。数種の朝倉氏関係文献を収集筆写した《朝倉家録》(富山県立図書館蔵)所収のものは,応仁の乱中朝倉氏を東軍に勧誘した幕府政所伊勢氏の書状,長享・延徳年間(1487‐92)の足利将軍の朝倉退治にかかる古文書を含んでおり,台頭期の朝倉氏の政治的動向および幕府内部の動向が知られる点で貴重である。…

※「朝倉始末記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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