花山温泉
はなやまおんせん
[現在地名]花山村本沢
一迫川上流の渓谷にある温湯・湯ノ倉・湯浜の三温泉を一括する近年の総称。古くはむしろ栗駒山(一六二七・七メートル)南東麓の駒ノ湯温泉・新湯温泉(現栗駒町)と併せ、栗駒五湯と称された。温湯温泉は寒湯とも記し、泉質は塩類泉で、やや低温である。「花山村安永風土記」によれば、湯壺は縦・横とも二間とあるが、当時すでに入湯する者のない禿湯であった。近世すぐ南に寒湯番所が置かれていたが、伝承によれば、同番所の境目守を勤めた三浦氏の祖三浦義実が弘安七年(一二八四)この湧泉を発見し、以後二五代にわたって湯宿の経営に当たってきたという。のち番所が廃され、出羽に至る仙北通もほとんど利用されなくなると、山仕事や山菜とりの足がかりとして存続したにすぎないとされる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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