花積村(読み)はなづみむら

日本歴史地名大系 「花積村」の解説

花積村
はなづみむら

[現在地名]春日部市花積

下蛭田しもひるだ村の北西に位置し、慈恩寺じおんじ台地上に立地する。村名は慈恩寺(現岩槻市)観音に当地から多くの花を積んで供えたためという(風土記稿)。永徳三年(一三八三)四月一一日の足利氏満御判御教書写(相州文書)に「慈恩寺領武蔵国太田庄花積郷」とみえ、鎌倉鶴岡八幡宮の遍照院僧正頼印の訴えを受けた鎌倉公方足利氏満は、同郷内の御厩瀬みまやせ渡および船に対する渋江加賀入道の押領を退けるように壱岐弾正大夫入道希広に命じている。同年五月八日希広はその命令に従い、御厩瀬渡および船を頼印の雑掌に打渡している(「壱岐弾正大夫入道希広打渡状」神田孝平氏旧蔵文書)。これより先、永徳元年一〇月七日に氏満は遍照院頼印を太田おおた庄慈恩寺別当職に補任しており(「足利氏満補任状」明治百年大古書展出品目録)、おそらくそのときに御厩瀬渡の権利も頼印に与えられたと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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