20世紀日本人名事典 「花野フジエ」の解説
花野 フジエ
ハナノ フジエ
昭和期の労働運動家
- 生年
- 明治43(1910)年2月13日
- 没年
- 昭和20(1945)年9月21日
- 出生地
- 広島県安芸郡江田島町
- 本名
- 森元 フジエ
- 経歴
- 女工として鐘淵紡績の兵庫工場に務め、夜は工場の経営する女学校に通う。卒業後、帰郷して広島専売局に就職。昭和5年ブラジル在住の前岡氏と結婚するが、ブラジル渡航を嫌がって婚家を出奔し、広島市の山陽紡績で働いた。同年秋、同社が賃金の3割を削減したのに対して労働争議が起こると、これに参加して検挙された。以来、労働運動家として「女人芸術」連盟広島支部などで活動。6年には同志の松村静子らと「戦旗」広島支部の結成を企てるが、6年に治安維持法違反のため検挙され、起訴猶予判決を受けた。同年、共産党青年同盟に入り、日本労働組合全国協議会の広島県福山地区の指導者として労働者の組織化を進めた。しかし、7年の共産主義者一斉検挙で再び逮捕され、懲役3年・執行猶予5年の判決を受けたのち、保護観察附きで釈放。その後、遊郭経営者の森元作一と結婚するが、20年8月6日の原爆の被害に遭い、9月に死去。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報