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女流文芸雑誌。1928年(昭和3)7月創刊から32年6月廃刊まで全5巻48冊。夫三上於菟吉(おときち)の資金援助で長谷川時雨(はせがわしぐれ)を中心に、生田花世(はなよ)、素川(もとかわ)絹子、長谷川春子ら、編集、執筆ともに女性の手により出され、対象も女性。かつての『青鞜(せいとう)』社員をブレーンとし、新人女流作家の発掘、育成を目ざした。林芙美子(ふみこ)『放浪記』を20回にわたって連載したのをはじめ、上田(円地)文子、太田洋子、窪川(くぼかわ)(佐多)稲子、大谷藤子(ふじこ)ら次々と女流を輩出するが、プロレタリア文学運動の全盛に伴い左傾していく。神近市子らの評論、働く女性たちの現状を取材・報告した投稿に特色がある。三度目の発禁後、資金の行き詰まりから廃刊。全48冊の復刻版(1981・不二出版)がある。なお、1923年(大正12)7、8月、時雨と岡田八千代(やちよ)により『女人芸術』が2号出されている。
[尾形明子]
『尾形明子著『女人芸術の世界』(1980・ドメス出版)』▽『尾形明子著『女人芸術の人びと』(1981・ドメス出版)』▽『紅野敏郎解説『「女人芸術」解説・総目次・索引』(1981・龍渓書舎)』
劇作家長谷川時雨(しぐれ)が1928年7月から32年6月まで主宰した女流文芸雑誌(全48冊)。女人芸術社発行。執筆,表紙絵,編集などすべてを女性の手で行う,自由な言論機関として出発し,平林たい子,窪川いね子(佐多稲子),中条(宮本)百合子,平塚らいてう,神近市子,山川菊栄らが小説,詩歌,評論を載せたが,とくに林芙美子《放浪記》,上田(円地)文子《晩春騒夜》などを紹介した功績は大きい。また一方,誌上でアナーキズムとマルキシズムの論争が行われるなど女性解放運動の理論誌としても注目され,なかでもソ連の婦人労働の紹介や日本の婦人労働者の現場からの声などが生彩を放った。しかし発禁による資金面の行き詰まりと長谷川の病気で廃刊にいたった。
執筆者:井上 輝子
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…《さくら吹雪》《江島生島》などの舞踊劇が代表作。19年通俗小説家三上於菟吉(おときち)と世帯をもち,28年には三上の援助で第2次《女人芸術》を創刊(第1次は23年創刊),林芙美子,円地文子を育成するなど,その美貌と華やかな活動が注目をあつめた。《女人芸術》に連載した回想録《旧聞日本橋》が高く評価されている。…
※「女人芸術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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