改訂新版 世界大百科事典 「若竹笛躬」の意味・わかりやすい解説
若竹笛躬 (わかたけふえみ)
浄瑠璃作者。生没年不詳。その伝についても不詳であるが,わずかな手がかりは《戯財録》に,若竹笛躬は〈若竹藤九郎といふ人形遣ひ,後,作者となる〉とある記事である。1759年(宝暦9)の《難波丸金鶏(なにわまるこがねのにわとり)》から99年(寛政11)の《纐纈紺屋譜(ゆいがのここうやのけいず)》まで,豊竹座などの作者連名に名が見える。おもな作品はいずれも合作で,《嬢景清八島日記(むすめかげきよやしまにつき)》《祇園女御九重錦(ぎおんにようごここのえにしき)》《摂州合邦辻(せつしゆうがつぽうがつじ)》《伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)》《けいせい恋飛脚(こいのひきやく)》《木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがつせん)》などである。なお,創作期間に8年間の空白があることから,若竹伊輔を2世笛躬とする説もあるが,笛躬の生涯については不明な点が多い。
執筆者:向井 芳樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報