若草の(読み)ワカクサノ

デジタル大辞泉 「若草の」の意味・読み・例文・類語

わかくさ‐の【若草の】

[枕]
若草が柔らかくみずみずしいところから、「つま妻・夫)」「にひ」にかかる。
「―妻がりといはば足飾りせむ」〈・二三六一〉
「―新手枕にひたまくらをまきそめて」〈・二五四二〉
心がひかれる、愛情をよせる意の「思ひつく」にかかる。
「―思ひ付きにし君が目に」〈・三二四八〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「若草の」の意味・読み・例文・類語

わかくさ‐の【若草の】

① 若草が柔らかくみずみずしいところから「つま(妻・夫)」、まれに「いも(妹)」にかかる。
古事記(712)上・歌謡「汝(な)こそは 男(を)にいませば うち廻(み)る 島の崎々 かき廻る 磯の崎落ちず 和加久佐能(ワカクサノ) 妻持たせらめ」
② 若草の新鮮なところから、「新(にひ)」にかかる。
万葉(8C後)一一・二五四二「若草乃(わかくさノ)新手枕(にひたまくら)を巻きそめて夜をや隔てむ憎くあらなくに」
③ 心がひかれる、愛情をよせるの意の「思ひつく」にかかる。かかり方未詳。「つま」は愛すべきものであるところからか。
※万葉(8C後)一三・三二四八「藤波の 思ひもとほり 若草乃(わかくさノ) 思ひつきにし 君が目に」
④ 「足結(あゆひ)」にかかる。かかり方未詳。
※万葉(8C後)一七・四〇〇八「大君の 命(みこと)かしこみ 食(を)す国の こと取り持ちて 和可久佐能(ワカクサノ) 足結(あゆひ)手作(たづく)り」
[補注]「書紀‐斉明四年五月・歌謡」の「射ゆ獣(しし)を 認(つな)ぐ川辺の 倭柯矩娑能(ワカクサノ) 若くありきと 吾(あ)が思はなくに」の例は、同音の繰り返しで「若し」を引き出す序詞の一部として用いられている。

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