葉栗郷(読み)はくりごう

日本歴史地名大系 「葉栗郷」の解説

葉栗郷
はくりごう

和名抄」高山寺本・東急本・元和古活字本のいずれも訓を欠く。東急本・元和古活字本は郡名に「波久利」の訓を付す。「古事記」孝昭天皇の段には、その子天押帯日子命を祖とする氏族の一人として羽栗臣の名が記される。羽栗臣は、当郷を本貫とする氏族であると考えられ、「古事記」において、皇室祖先系譜を一にする伝承をもつことや、郡名と同じ名称を氏族名とすることからしても、地方豪族として有力な存在であったことが知られる。

鎌倉時代に成立したとされる「塵袋」には「尾州葉栗はくり郡ニ光明寺ト云フ寺アリ ハクリノ尼寺あまてらト名ツク 是ヲハ飛鳥浄御原あすかきよみはらノ御宇乙中葉栗臣いつちうはくりのをむ人麿始テ建立スト見エタリ」の一文があり、七世紀後半における葉栗臣の造寺を伝えている。


葉栗郷
はぐりごう

「和名抄」所載の郷。尾張国葉栗郡五郷の一。諸本とも訓を欠くが、同名の郡については刊本郡部で「波久利」とよんでいる。郡名と同一であることから、郡家の所在地と考えられる。郷域について「濃飛両国通史」は現羽島市竹鼻たけはな小熊おぐま福寿ふくじゆの辺りにあてているが、それらに現羽島郡柳津やないづ町・笠松かさまつ町も含めた広い地域を考える説(日本地理志料)もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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