笠松(読み)かさまつ

精選版 日本国語大辞典 「笠松」の意味・読み・例文・類語

かさ‐まつ【笠松】

[1] 枝が四方に広がっている、笠のような形の松。
仏道の記(1266‐69頃)「時雨せば蔭に隠れん名にし負ふ輪田の岬に立てるかさ松」
[2] 岐阜県南部の地名木曾川河港として発展、美濃絣(がすり)集散地として知られた。江戸時代は美濃国幕府領を支配した代官所所在地。現在、名鉄名古屋本線から同竹鼻線が分かれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「笠松」の意味・わかりやすい解説

笠松[町] (かさまつ)

岐阜県南西部,羽島郡の町。人口2万2809(2010)。木曾川右岸に沿う細長い町で,全町がはんらん原上にある。自然堤防と後背湿地が混在し,自然堤防上に市街地が発達する。木曾川の流れが緩やかになる地形的変換点に位置し,江戸時代には桑名に通じる木曾川水運の重要な河港として発展した。東海道本線の通過を拒否したため一時町勢は衰退したが,美濃縞織物で知られる繊維の町として発展してきた。名鉄名古屋本線と竹鼻・羽島線の分岐点をなす。
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古くは尾張国葉栗郡のうちで,木曾川の河道を変えた1586年(天正14)の大洪水以後,美濃国羽栗郡に入る。はじめ笠町ともいう。美濃代官名取半左衛門長知が,それまで可児郡徳野にあった陣屋を1662年(寛文2)この地に移してから,美濃天領の政治の中心地として重きをなした。また名取代官は笠町を笠松村とあらため,六斎市を許すなどその後の笠松の発展の基礎を築いたとされる。なお,笠松村と徳田新田,田代村柳原とをあわせて笠松三郷といい,町場は在町であって,行政的には正式に町として扱われてはいない。またここは陣屋元としてばかりでなく,名古屋街道と木曾川舟運との交差する要地でもあって,諸荷物問屋や荷物の積みおろしに従事する仲仕などが集まっていた。1868年(明治1)から笠松県庁,71-73年岐阜県庁が置かれていた。
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