日本大百科全書(ニッポニカ) 「蒙古相撲」の意味・わかりやすい解説
蒙古相撲
もうこずもう
外モンゴル・内モンゴルを問わずモンゴル人の間で広く行われている相撲で、ブフ、またはパリルドホという。13世紀のチンギス・ハン時代すでに広く普及し、大は国家的祭典から小は集落の祭りに至るまで、日本の相撲のようにかならず大会が催される。各集落から代表選手が出て、集落対抗の団体と個人の優勝戦があり、真剣に争われる。服装は、半長靴(ちょうか)に半ズボンをつけ、裸体の上に真鍮(しんちゅう)飾りをつけた半袖(はんそで)のチョッキを着て、背中に十字の襷(たすき)を掛ける。この独特の相撲着をジドックという。競技方法は、両手をあげて立ち合い、機を見て相手の相撲着の半袖か襟(えり)をつかみ、足を絡ませてひねったり、投げたりするが、組み付いて蹴(け)り合うのが特徴である。行司役には主審が1人いて、競技進行の全権を任される。膝(ひざ)から上が地につけば負けになり、広い草原で行うため、細かい技(わざ)はなく、足取りなど認めない力相撲である。勝負が決まると、勝者は草原を跳ね踊って勝利を誇示する。
[池田雅雄]
『ベースボール・マガジン社編・刊『モンゴルのスポーツ』(1978)』