モンゴル相撲(読み)モンゴルずもう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モンゴル相撲」の意味・わかりやすい解説

モンゴル相撲
モンゴルずもう

モンゴル伝統の徒手格闘技。ブフと呼ばれ,国技としてたいへんな人気を集める。約 2500年の歴史をもち,かつてチンギス・ハン(成吉思汗)も愛好したといわれる。日本相撲と技の共通点も多く,その源流という説もある。民族色豊かなゾドク (ベスト) ,ショーダク (パンツ) ,ゴダル (ブーツ) を身に着けて対戦する。相撲のような立ち合いの激突はなく,柔道のように組み合って始める。土俵もなく,地面に相手の膝や肘,頭,背中などを先に押しつけた方が勝ち。寄り切りのような技もない。手のひらが着いてもよく,あくまで「投げる」「倒す」が基本で,勝負は数時間に及ぶこともある。相手の足や腰をつかんでのダイナミックで多彩な投げ技,足技が駆使され,決まり手は 500種類をこえる。毎年7月に国中で開かれる祭典ナーダムには欠かせぬ主要競技となっている。なかでも首都ウラーンバートルのナーダムは国の王者決定戦で,強豪がひしめき盛り上がる。優勝者は国民的英雄となる。選手は入場の際と勝利のあとに,タカの姿を象徴した踊りを舞い,遊牧民族の勇壮さが漂う。 1997年にブフ・リーグが発足し,有力企業の支援でクラブが急増。セミプロ選手も出現するなど商業化も進んでいる。優勝2回でアバルガ (日本の横綱に相当) という称号が送られる。

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