国指定史跡ガイド 「蓮ヶ池横穴群」の解説
はすがいけよこあなぐん【蓮ヶ池横穴群】
宮崎県宮崎市芳士にある横穴。日向(ひゅうが)灘に面した宮崎平野の西辺の丘陵に位置し、東西約1km、南北1.3kmの丘陵の南方向に開口する斜面に構築された横穴群。わが国における横穴墓群分布の南限にあたることなどから、1971年(昭和46)に国の史跡に指定された。現在、82基が確認され、指定地西側の丘陵に分布する第一集団、中央丘陵に分布する第二集団、東側の丘陵に分布する第三集団と単独横穴とに分けられ、各集団はさらに4~6のグループに細分化できることから、これらの横穴群が家族墓であった可能性が高い。形式的には前室をもつ特異な横穴(第12号)を除くと、玄室がやや縦長の長方形の家形で、棟は尖ったドーム形、玄室の4周に排水溝をもつものと、玄室の床面が逆梯形の家形で、天井はドーム形で羨道(せんどう)が長く、先細りとなっているものに大別できる。これらの横穴は古墳時代後期のもので、6~7世紀に造られたものと推定。南九州において保存状況が良好な横穴が多数群集したものは例をみず、この地方の古代社会の構造を研究するうえでも貴重な資料とされている。現在は、周辺が整備され蓮ヶ池史跡公園となっている。JR日豊本線蓮ケ池駅から徒歩約20分。