藁園寺(読み)わらそのでら

日本歴史地名大系 「藁園寺」の解説

藁園寺
わらそのでら

高島たかしま郡内にあった古代寺院。所在地は明らかではないが、滋賀県新旭町藁園と推定される。「続日本紀」天平神護二年(七六六)九月六日条に、天平宝字八年(七六四)藤原仲麻呂の乱に際し官軍に協力したことについて、「賜助官軍近江国僧沙弥、及錦部蒿園二寺檀越、諸寺奴等物、各有差」とあり、錦部にしごり寺と藁園寺の檀越・諸寺奴への恩賞が記されている。錦部寺は滋賀郡錦部郷(現滋賀県大津市)内に所在した寺院とみられるが、藁園寺は藁園にかかわる寺院とみられる。藁園については天平五年(七三三)の国郡未詳計帳(正倉院文書)に、壬生逆ら三人が和銅五年(七一二)近江国高島郡藁園に逃亡したことがみえ、「和名抄」などの郷名にはみえないものの、有力な村落であることが知られ、古代寺院を建立しうる在地有力者が蟠踞していたのであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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