朝日日本歴史人物事典 「藤野孫一」の解説
藤野孫一
生年:元禄14(1701)
江戸中期,隠岐島布施村造林の始祖。隠岐国(島根県)周吉郡布施村木下庄右衛門の子として生まれ,のち藤野与平次の養子となる。青年期に隣村の医師原玄琢から造林業の有利なこと,杉樹試植の実験談を聞かされ,造林事業を企画,村人を説得したが,村人は耳をかさず,わずかに親戚の船田兵右衛門,長田新六,佐原長兵衛の3名が協力,孫一が伊勢参宮の帰途持ち帰った杉実をもとに植林に着手,30年後の安永(1772~81)のころ成育した杉を伐採,巨額の利益を得た。そのためいったんは嘲笑した村人もこれに倣って造林に励み,以後事業利益は村最大の収入源となった。<参考文献>島根県隠岐支庁編『隠岐島誌』
(松尾寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報