蝙蝠羽織(読み)コウモリバオリ

デジタル大辞泉 「蝙蝠羽織」の意味・読み・例文・類語

こうもり‐ばおり〔かうもり‐〕【蝙蝠羽織】

《袖を広げた形がコウモリに似ているところから》身丈よりも袖丈の長い羽織江戸時代武士町人が用いたもの。かわほりばおり。

かわほり‐ばおり〔かはほり‐〕【蝙蝠羽織】

《袖を広げた形がコウモリに似ているところから》丈が短くて袖の長く広い羽織。江戸初期に流行

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精選版 日本国語大辞典 「蝙蝠羽織」の意味・読み・例文・類語

かわほり‐ばおりかはほり‥【蝙蝠羽織】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、寛永正保一六二四‐四八)の頃流行した羽織。丈(たけ)が短く、袂(たもと)が丸く、コウモリが翼をひろげたような形のもの。かわほり。こうもりばおり。
    1. 蝙蝠羽織〈骨董集〉
      蝙蝠羽織〈骨董集〉
    2. [初出の実例]「みじかき物のしなじな〈略〉かはほりはをり。よの袴。戸田の小太刀に長柄のみ」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)上)

こうもり‐ばおりかうもり‥【蝙蝠羽織】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、武士や町人が着用した、非常に丈(たけ)の短い羽織で、身頃よりも長い丈の袖がつく。かわほりばおり。
    1. [初出の実例]「やぶくすしこそはやり出けれ 鳥のなき里にかうもり羽織きて〈安信〉」(出典:俳諧・続山の井(1667))

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世界大百科事典(旧版)内の蝙蝠羽織の言及

【羽織】より

陣羽織ともいったこの袖無羽織は南蛮服の影響をうけ,当時舶来の金襴(きんらん),緞子(どんす),ラシャ(羅紗)などの高級織物で仕立て武将が愛用した。江戸時代には種類が非常に多く,袖丈よりも羽織丈の短い若衆の蝙蝠(かわほり)羽織,市井の老人が着た袖無羽織(甚兵衛羽織),袖丈と袖口が同寸の広袖羽織,腰に差した刀や馬に乗る武士のための腰から下が割れている背割(せわれ)羽織(打裂(ぶつさき)羽織),防火用として大名などが着たラシャや革製の火事羽織,幕末の洋式訓練に用いた筒袖羽織など,用途や身分によって形態や地質などさまざまであった。羽織は一時的に衣服の上に着るところから略装として扱われ,上級者は正式の場には用いず,御目見(おめみえ)以下の武士が肩衣(かたぎぬ)の代りに着た。…

※「蝙蝠羽織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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