蟻地獄(読み)ありじごく

精選版 日本国語大辞典 「蟻地獄」の意味・読み・例文・類語

あり‐じごく ‥ヂゴク【蟻地獄】

〘名〙
① 昆虫類、アミメカゲロウ(脈翅)目、ウスバカゲロウ科の幼虫の総称で、おもにウスバカゲロウやホシウスバカゲロウの幼虫をいう。体長約一センチメートル。灰褐色で細かいとげがあり、大きなはさみのような口器がある。砂地など、乾いた地面に頭で土をはね飛ばし、渦巻状に後ずさりしながら、すりばち状の穴をつくってその底にひそみ、落下したアリなどの体液を吸うのでこの名がある。うしむし。あとしざり。すりばちむし。あとさりむし。ありのじごく。《季・夏》〔生物学語彙(1884)〕
※あらたま(1921)〈斎藤茂吉〉初夏「梅の木かげのかわける砂に蟻地獄(アリヂゴク)こもるもさびし夏さりにけり」
アリジゴクのひそんでいる、すりばち状の穴。脱け出せない苦しい状況のたとえにもいう。《季・夏》
忠義(1917)〈芥川龍之介〉一「蟻地獄(アリヂゴク)に落ちた蟻のやうな、いら立たしい心で」

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デジタル大辞泉 「蟻地獄」の意味・読み・例文・類語

あり‐じごく〔‐ヂゴク〕【×蟻地獄】

ウスバカゲロウ類の幼虫。体長約1センチ。かま状の大あごをもち、乾燥した土をすり鉢状に掘って巣を作り、底にひそんで落ちたアリなどを捕らえる。あとじさり。すりばちむし。 夏》「―見て光陰をすごしけり/茅舎
1の作ったすり鉢状の穴。脱け出せない苦しい状況のたとえにもいう。「蟻地獄からはい上がれない」

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