蟻門渡(読み)ありのとわたり

精選版 日本国語大辞典 「蟻門渡」の意味・読み・例文・類語

あり‐の‐とわたり【蟻門渡】

〘名〙
アリが一筋の細い行列をなして行くこと。ありわたり。蟻の熊野参り。《季・夏》
※俳諧・犬子集(1633)一七「きり口を程へて見ればなまなすび 砂糖にはあつまる蟻の唐わたり」
② 山の尾根両側が切り立った崖をなしている細く狭い道の部分。修験者修行の場所などとなった。長野県戸隠山のものが有名。ありわたり。
山家集(12C後)下「ありのとわたりと申す所にて、笹深み霧こす岫(くき)を朝立ちてなびきわづらふありのとわたり」
③ 陰部と肛門(こうもん)との間。会陰(えいん)の俗称。とわたり。
上杉家文書‐(年月日未詳)(室町)直江重光兼続秘伝集「第一どくのあたりに有るを知事はありのとわたり、しきりにかゆき者也」

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