血の池地獄(読み)ちのいけじごく

日本歴史地名大系 「血の池地獄」の解説

血の池地獄
ちのいけじごく

[現在地名]別府市野田

柴石しばせき温泉の東の谷間にある。赤色の摂氏七七度の熱水の池(面積一一六〇平方メートル)で、泉質は酸化鉄を主体としてマグネシウム、酸化カルシウム、硅酸などを含む。「豊後国風土記」にみえる「赤湯泉」は当地獄のこととされる。近世に入ると「和漢三才図会」に「赤江地獄と名のる者有り。方十余丈、正赤なる湯、血の如く流れて谷川に至る。未だ冷定せざる処、魚有りて常に躍り遊ぶ」と紹介された。天明三年(一七八三)に当地を訪れた古河古松軒も「西遊雑記」に「血の池地獄といふは、湯のいろ赤し」と記している。「箋釈豊後風土記」には赤湯は「其闊十余丈、純赤如朱、下足使爛、能熟生物、時見赤魚游泳、然此湯近歳大衰、無旧日之観、其旁有寺曰湯山長泉寺」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の血の池地獄の言及

【血盆経】より

…大日本続蔵経に《仏説大蔵正経血盆経》と題して収められている全420余字からなる小経で,血の穢(けが)れゆえに地獄へ堕ちた女人を救済せんがための経典である。中国では明・清の時代にかなり広く流布していたもので,仏教,道教,ある特定結社のものなどが存在しており,内容も多少異なっているが,いずれも血にかかわる罪を犯した者は血の池地獄に堕ちると説かれているのに対し,日本の《血盆経》には,産や月水の血で地神,水神等を穢した女性のみが,この地獄に堕ちるとされている。古来,日本には血を忌む思想が存在し,これに仏教の女性不浄観が習合して,女は血を流す存在であるがゆえに不浄だと説かれることになった。…

【地獄】より

…火山や温泉,地熱地帯で,高温のガスや熱湯が噴き出す場所の俗称。岩石が著しく変質して粘土状となり,さまざまな色の昇華物や沈殿物が付着し,植物もほとんど生えず,荒涼とした光景をしているのでこの名がある。噴気孔から噴き出す有毒ガスのため,鳥,昆虫,獣類などが死ぬことがあり,鳥地獄,虫地獄,タヌキ地獄などと呼ばれることもある。ときに人間が知らずに近寄って被害を受けることもあり,注意が必要である。北海道の登別温泉,大分県の別府温泉などでは,色彩の特徴や状態からいろいろな名前をつけて呼んでいる。…

※「血の池地獄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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