精選版 日本国語大辞典 「行違」の意味・読み・例文・類語
ゆき‐ちがい ‥ちがひ【行違】
〘名〙
① すれちがうこと。行き交うこと。みちかい。ゆきちがえ。ゆきたがい。
※河海抄(1362頃)六「みちかひにてたに 道の行ちがひなり」
② 行って会えないこと。入れちがいに出かけていて会いそこなうこと。ゆきちがえ。いきちがい。ゆきたがい。
※志都の岩屋講本(1811)下「此れは一通り尤なやうなことの、大きに行違ひな諺で」
④ =かたたがえ(方違)
※とはずがたり(14C前)一「今日はゆきちがひなれば、めのとが宿所、四条大宮なるにまかりぬ」
ゆき‐ちが・う ‥ちがふ【行違】
[1] 〘自ワ五(ハ四)〙
② 時間や経路が違って互いに出会わないでしまう。ゆきたがう。いきちがう。
③ 物事がうまくかみ合わない状態になる。手筈が狂う。いきちがう。
[2] 〘自ハ下二〙 ⇒ゆきちがえる(行違)
いき‐ちが・う ‥ちがふ【行違】
〘自ワ五(ハ四)〙
① こちらから行き、あちらから来る。ゆききする。ゆきかう。ゆきちがう。
※蜻蛉(974頃)上「さまざまなる人のいきちがふ」
② すれちがって、互いに異なる自分の方向に進む。わかれる。ゆきちがう。
※史記抄(1477)八「使者相望と云は、さきの使と後の使といきちがいいきちがい相望ぞ」
③ 行き会わない。出くわさない。ゆきちがう。
※コリャード日本文典(1632)「Iqichīgota(イキチゴタ) モノデ アロズ」
いき‐ちがい ‥ちがひ【行違】
〘名〙
① 両方で出掛けて行って会えないこと。すれちがい。ゆきちがい。
※大道無門(1926)〈里見弴〉隣人「まだお迎ひの出ないうちにお宅に着いちまいますから、行(イ)き違(チガ)ひになるやうなこともありますまいし」
② 相互の連絡が不十分だったりして手はずがくいちがうこと。ちぐはぐになること。ゆきちがい。
いゆき‐たが・う ‥たがふ【行違】
〘自ハ四〙 (「い」は接頭語) 入れ違いになるように行く。行き違う。
※古事記(712)中・歌謡「己(おの)が命(を)を 盗み死せむと 後(しり)つ戸よ 伊由岐多賀比(イユキタガヒ) 前(まへ)つ戸よ 伊由岐多賀比(イユキタガヒ)」
ゆき‐たが・う ‥たがふ【行違】
[1] 〘自ハ四〙 =ゆきちがう(行違)(一)②
[2] 〘他ハ下二〙 たがいにすれちがうようにさせ、ゆきちがわせる。
ゆき‐ちが・える ‥ちがへる【行違】
〘自ア下一(ハ下一)〙 ゆきちが・ふ 〘自ハ下二〙 行く方向をまちがえる。まちがって行く。ゆきまちがえる。
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