衣衣・後朝(読み)きぬぎぬ

精選版 日本国語大辞典 「衣衣・後朝」の意味・読み・例文・類語

きぬ‐ぎぬ【衣衣・後朝】

〘名〙 (「衣(きぬ)」を重ねた語で、それぞれの衣服の意)
① 男女が共寝をして、ふたりの衣を重ねてかけて寝たのが、翌朝別れる時それぞれ自分の衣をとって身につけた、その互いの衣。衣が、共寝のあとの離別象徴となっている。
古今(905‐914)恋三・六三七「しののめのほがらほがらとあけゆけばおのがきぬぎぬなるぞかなしき〈よみ人しらず〉」
② 男女が共寝して過ごした翌朝。またその朝の別れ。きぬぎぬの別れ。こうちょう。ごちょう
※新勅撰(1235)恋三・七九一「後朝の心を きぬぎぬになるともきかぬとりだにもあけゆくほどぞこゑもおしまぬ〈源通親〉」
③ 男女が別れること。離縁
狂言記箕被(1700)「此ごとくに、きぬぎぬに成とても、互にあきあかれぬ中ぢゃ程に、近ひ所を通らしますならば、必ず寄らしませ」
④ 転じて、別々になること。はなればなれになること。
浮世草子武道伝来記(1687)三「首と胴とのきぬぎぬさあ只今返事は返事はと」

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