日本大百科全書(ニッポニカ) 「袋物屋」の意味・わかりやすい解説
袋物屋
ふくろものや
印籠(いんろう)、巾着(きんちゃく)、紙入れなど袋物を生産販売または仕入れ販売する店。17世紀には、それぞれを生産する印籠師、巾着師、紙入師といった職人がいた。販売もしたが、多くは問屋に集荷されていた。18世紀になると、たばこ入れや鼻紙入れをつくる袋物師が現れ、袋物問屋がおこった。一般的にはこれらを袋物屋とよんだ。紙入れの三徳(さんとく)や武家女性の箱迫(はこせこ)などもつくった。袋物屋は小間物も多く取り扱った。19世紀後半以後はそれまでの袋物にかわって西洋風の手提げ鞄(かばん)やハンドバッグが主流となったが、箱迫などは婚礼や七五三のときの女性用として残っている。
[遠藤元男]