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巾着 きんちゃく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

巾着
きんちゃく

小物を入れる袋物の一つ。革,布,編物などを袋とし,口を緒で絞めくくる。ハンドバッグにも応用されている。昔の火打袋から出たもので,『秋草』下巻に「印籠巾着の事,室町家の頃まではなかりしものなり,是又近世のものなり,室町家の頃まで腰刀に火打袋を付くる事有しなり,巾着は此火打袋の変作なるべし」とある。その後,17世紀末頃には巾着の上に帯皮をつけ前で帯に下げる前巾着ができた。また『栄花咄』に「禿 (かむろ) も一分の四五十づつは浮世巾着に絶さず」とある浮世巾着は,江戸時代末頃より主として花街で用いられたものだが,形態は前巾着と変らない。

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デジタル大辞泉の解説

きん‐ちゃく【巾着】

布や革などで作った、口をひもで締める小さな袋。金銭・薬などを入れて持ち歩いた。
腰巾着」に同じ。
江戸時代の私娼の一。
遊女屋の遣手婆(やりてばば)
「―は亭主を砂利場辺に置き」〈柳多留拾遺・六〉

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百科事典マイペディアの解説

巾着【きんちゃく】

口を紐(ひも)で締めた,腰に下げる袋物。火打道具を入れた火打袋の変化したもので,金銭,印章,お守りなどを入れた。江戸時代には専門の巾着師によって,革,羅紗(らしゃ),高級織物などで華美なものが作られ,巾着切り,腰巾着などの語もできたが,明治になって財布や蟇口(がまぐち)が普及してすたれた。
→関連項目染韋(革)

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世界大百科事典 第2版の解説

きんちゃく【巾着】

主として腰に下げる装身具の一つで,皮,ラシャそのほか高級織物でつくられ,口を緒でくくり,中にお守札,金銭,印形などを入れるのに用いた。もともと,巾着は火打袋の変化したもので,道中用の腰に下げる火打袋には,皮袋の下に火打鎌(かま)をつけて袋の中には火打石と火口(ほくち)を入れたもの,または袋の中に両者を入れたものもあった。火打袋が袋物であったところから銭を入れるのに便利であり,銭入れとして実用した話が《太平記》に見えている。

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大辞林 第三版の解説

きんちゃく【巾着】

布・革などで作った袋で、中に小物類を入れ、口を緒でくくるようにしたもの。古くは金銭・守り札・印形などを入れて腰に下げた。
江戸時代の私娼の一。 「舞子白人さては-などというて/浮世草子・立身大福帳」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

巾着
きんちゃく

袋物の一種。和装の場合、腰に下げたところから、腰巾着という名称も使われた。実用と装身具的な役割を兼ね、主として硬貨や印判を収める小さな袋物である。袋の材料は絹織物、綿織物、羅紗(らしゃ)、革類。その形態も円形、楕円(だえん)形、干柿(ほしがき)形などさまざまで固定してはいない。巾着の口紐(くちひも)は打ち紐や革紐を用いた例が多い。革巾着はなめし革、印伝革(いんでんがわ)に模様を描いたものが用いられている。元来、発火用具入れの火打ち袋から発したもので、江戸時代初期には前巾着といわれて帯の前(前身頃(まえみごろ))のところに下げ、小銭入れとして使用された。最初の巾着は打ち紐だけであったが、のちには印籠(いんろう)、たばこ入れと同様に、口紐につけた根付(ねつけ)を帯に挟んで腰に下げるようになった。さらに幼児では、迷子札を板や金属板でつくっていっしょに下げたが、この風習は、東京では大正末期まで行われた。江戸末期に現れた女夫(めおと)巾着は、巾着の中を二つに仕切って、一方を小銭入れ、他方を薬や守り札を入れて、非常の際に役だつようなくふうを凝らしたものである。
 また、巾着に硬貨を納めていたところから、これをかみそりで切り取るすりを巾着切と称し、彼らは一時町中を横行した。
 その後財布の発達により巾着の利用は減じた。巾着も明治以降になると、毛糸編物、レースあるいはビーズなどでもつくられたが、財布、がまぐちの普及で祝儀の際の装身具と化した。[遠藤 武]

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