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職人 しょくにん journeyman

翻訳|journeyman

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

職人
しょくにん
journeyman

一般に,手工もしくはごく簡単な機械を操作して作業する熟練工をいう。中世のヨーロッパにおけるギルドでは,親方,職人および徒弟の3職階制が行われていた。徒弟の期間は2~7年と仕事によってかなり幅があったが,職人になると各地を回りながら腕を磨き,親方による製品の審査を経て親方になるというのが初期のギルドにおける通常のコースであった。

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デジタル大辞泉の解説

しょく‐にん【職人】

自分の技能によって物を作ることを職業とする人。大工・左官・表具師など。

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百科事典マイペディアの解説

職人【しょくにん】

日本ではふつう手工業者をさすが,狭義の職人とは,ヨーロッパ封建社会ギルド組織におけるように徒弟と親方との中間にある一階程を意味する(徒弟制度)。日本では,古くは遊行芸人なども含めて,農業以外の職をもつものをさし,中世社会の発展に伴って手工業者層が全国的に形成された16世紀ころから,職人とは手工業者を意味するようになった。
→関連項目親分・子分士農工商職人歌合

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世界大百科事典 第2版の解説

しょくにん【職人】

一般に,自分の手先の技術により物を生産することを職業とする人をいい,その技術は,独自の徒弟制度により伝習されてきた。だが中世の日本では,在庁官人や芸能民なども広く職人と呼ばれていた。
【ヨーロッパの職人】
 ヨーロッパにおける職人の伝統は,ローマ時代の手工業者の組織であるコレギウムと初期中世の修道院や宮廷における技術者養成機関にさかのぼる。ローマコレギウムは,キリスト教の受容とともに相互扶助を行う兄弟団的結合に変わっていったとみられる。

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大辞林 第三版の解説

しょくにん【職人】

大工・左官・飾り職・植木屋などのように,身につけた技術によって物を作り出したりする職業の人。
転じて,その道の専門家。 「あの選手は守備の-だ」

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

職人
しょくにん

専門的な手工的技術と道具をもって顧客のために手工的生産をする手工業者。日本にこうした職人が誕生するまでには長い前史があった。原始社会では手工的技術と道具は、狩猟・漁労、さらに農耕と結び付いていて、共同体の成人層が共同体成員全体のために自給的な自由な生産をしていた。3世紀からの古代になって、技術保持者のある者は、貴族のために農閑期に手工的生産を強制される工人となった。技術はもつが道具はもたないという不自由な手工的生産者であった。
 平安時代末期の12世紀には、職人誕生の契機である賃仕事が成立した。一般に需要の高い分野に農民からの職業的分化がみられ、いくつかの職種ができた。技術・道具はもっているが原料は注文主から支給され、それに加工生産して手間賃を得るのである。中世の14世紀からは、代金仕事という、原料もある程度は確保して手工生産し、代金を得ることが始まった。職人の業態には大工・左官などの出職(でしょく)と指物師・縫物屋などの居職(いじょく)があったが、賃仕事は出職、代金仕事は居職に多かった。賃金は初めは出来高払いであったが、やがて時間払いとなっていった。労働時間は1日14時間であった。職人は、都市・村落とも、領主に従属して、その経営と生活が保証された。座(ざ)という組織もその一つである。技術伝承のための徒弟制的関係も、技術に対する意識も確立されてきた。職人は絶えず農民から分化していた。17世紀からは、職人は領主の拠点の城下町そのほかの都市に、仲間(なかま)という組織の保護と統制によって経営と生活を維持することになった。しかし、仲間は業種別の親方だけの利益独占を計るための横の組織で、徒弟制も職人の縦の組織として家業構(かまい)といった親方の恣意(しい)が許され、年季も無制限となっていた。平職人の横の組織への要望は強くなってきて、18世紀からは、仲間外れの新しい親方も含めた職人全体の結合も、職種によっては生まれていた。技術に対する自負と責任感という職業意識が職人気質(かたぎ)となってきた。18世紀までは、手工業生産が唯一の工業生産として、その役割は大きかったから、職人の立場も高いものであった。しかし、そのころから問屋制家内工業、19世紀からは工場制手工業といった、新しい量産を目標とする工業生産が村落にも発展してきて、職人の手工的生産の優位性は失われ、農民の手工的生産者としての役割が重くなってきた。
 19世紀後半から近代になって、さらに量産可能な機械制工場工業が発展してくるにつれて、多くの手工業生産部門は解体し、職人の手工的生産の分野は狭くなってきた。それに問屋制や請負制の展開の結果、農民はもちろん、職人もまた賃金労働者化してきて、職人による手工生産は、機械化できない限られた部門のこととなってしまった。職人は何度かの危機に直面することになった。近代では、工場労働者・職工・女工の労働運動が活発となったのに刺激されて、職人もまた労働者としての意識から組合組織をつくった業種もあったが、強いものではなく、それに一般には生産形態や徒弟制の近代化は進まなかった。
 現代は機械生産の大規模化と技術革新が進み、職人の手工業生産は生産性があまり高くないということから、材料の入手難、後継者の養成難といった問題を抱えている。伝統工芸には援助の手も伸びているが、一般の職人については対策が不十分である。職人を取り巻く情況は厳しいが、そのなかに横の組織をつくり、企業者としての主体性の確保に進む者もいる。[遠藤元男]

西洋

西洋の職人は11世紀の中世都市の成立とかかわりをもっている。むろん手仕事そのものは非常に早い時期からあり、鍛冶(かじ)、陶器作り、機(はた)織りなどの歴史は古い。都市の発展につれて、12世紀の初め、都市にいた手工業者たちは同業組合、ツンフトZunft(ドイツ語)、ギルドg(u)ildを組織した。彼らは徒弟、職人と修業を積んでいって親方になる。しかし中世初期の段階では、徒弟の修業期間の規定がなかった。修業強制の最初の記録は1304年、スイスのチューリヒの粉屋、帽子屋、皮なめし屋のツンフトにみられ、15世紀なかばになって一般化した。修業期間は4年までが多かった。親方はツンフトの承認がなければ徒弟を採用することもできない。その前に徒弟になりたい者は出自を問われた。中世にはまともな職業とまともでない職業という別があり、死刑執行人、墓掘り人、羊飼い、夜回り、皮はぎ屋、馬車ひき、日雇いその他、親の職業によって徒弟になる資格がない場合があった。4週間の試験に合格すると、親方のもとで3年修業し、ツンフトの試験を受け、職人の身分になれる。そのあと職人は2週間親方の家で休み、旅に出る。
 職人の旅を初めて規定したのは、ハンブルクの皮なめしのツンフトで(1375)、15世紀のなかばに一般に広がり、16世紀になるとどこでも遍歴が義務づけられた。昔話によく仕立屋や鍛冶屋などの職人が宿に泊まる場面が出てくるが、実際は気ままに泊まれるのでなく、職種によって定宿があった。そのうえ、泊まるときの特定の挨拶(あいさつ)まであった。その文句は親方が、出発する際に、他言しないように念押しをして教えた。宿では古参の職人が質問し、新参者がビールをおごった。こういうとき、旅の職人は身分証明書を携行していた。後の19世紀(1820)のものだが、オーストリアの皮はぎ職人の手帳には、氏名、職業、生地、年齢、体格、容貌(ようぼう)、額、目、鼻、口、あご、ひげ、髪、顔色、健康、その他の特徴という欄があり、1827年の手帳では身分、宗教、1854年のものでは眉(まゆ)、歯の欄まである。雇い主は、職人の誠実さ、身持ち、勤勉さ、技量について書き、雇い主の氏名、資格、住所、職人が仕事についた日、仕事の種類、仕事を離れた日を書き込む。1820年の手帳の職人はドイツ→チェコスロバキア→ドイツ→オーストリアのチロルと旅している。彼は1人の親方の家に2、3か月から半年いて、3年後に帰郷している。こういう遍歴コースは土地と職種によってそれぞれ決まっていた。ただし技術の秘密保持のため、職人を旅に出さないツンフトもあった。生活ぶりは、15世紀のオーストリアのバイトホーフェンの仕立屋の場合、仕事は冬期が朝5時から夜10時まで、夏期は朝4時からとなっている。人との交際にも厳しい制約があり、親方試験は8種類9着の服をつくることで試された。
 職人はツンフトの承認を得て親方の資格を得る。しかし、親方は自分の家と仕事場と市民権をもち、結婚していなければならなかったので、現実にはなかなか独立しにくかった。独立しても、若い親方は長年借金に苦しんだ。それで親方の息子でない者は妻の持参金をあてにしたり、親方の娘や親方の未亡人と結婚して親方になった。また、親方株が限られ、株が金で売買された。こうして親方になれない職人が年ごとに増え、職人は自分たちの組合をつくってツンフトと対立するようになった。14世紀に経済団体以上の強い政治力を発揮したツンフトも、16世紀には硬直し、親方夫妻と職人、徒弟との家族主義的関係も崩れてきた。この16世紀は、しかし女性でも仕事を覚えることができたが、17世紀末になると親方未亡人を除いて、女性は人員過剰を理由に締め出された。職人社会は外からは、18世紀にマニュファクチュアができて深刻な打撃を受け、19世紀の大規模な工業生産の出現によって追い打ちをかけられる。[飯豊道男]
『遠藤元男著『日本職人史』(1967・雄山閣出版) ▽伊藤栄著『西洋中世都市とギルドの研究』(1968・弘文堂新社) ▽高木健次郎著『ドイツの職人』(中公新書) ▽L・ブノワ著、加藤節子訳『フランス巡歴の職人たち』(白水社・文庫クセジュ) ▽阿部謹也著『中世の窓から』(1981・朝日新聞社) ▽阿部謹也著『中世を旅する人びと』(1978・平凡社)』

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世界大百科事典内の職人の言及

【安土桃山時代】より

…名古屋城,姫路城,彦根城,高田城などは,外壁が白く塗られ,門の内部にも枡形を設けるなどして敵が直進できないようにし,天守閣の内部は迷路になり,籠城に耐えられるよう設計されている。 築城をはじめとする大規模な普請・作事には,多くの職人が動員された。京都の東山に建造された方広寺大仏殿の場合,番匠(棟梁,肝煎,平大工の上・下というランクがある),杣工(そまく),鍛冶,屋根ふきなどのほか,唐人の大工や奈良の大仏師など外国人や伝統的技術の保持者まで召し寄せられた。…

【技術】より


[技術と科学]
 過去には技術は,もっぱら経験的知識の蓄積のうえに発達してきた。それを担ってきたのは職人であり,その習得方法は,徒弟制度のもとでの実務を通しての修練であった。職人と学者とは明確に区別されていた。…

【ギルド】より

…それがツンフト闘争とよばれる運動である。この頃ギルド内でも親方Meister,職人Geselle,徒弟Lehrlingの階層(徒弟制度)が生まれ,技術水準の維持が計られると同時に職人も兄弟団を結成し,親方に対抗する姿勢をとり始めた。この兄弟団はやがて職人組合Gesellenverbandへと発展してゆくことになる。…

【喧嘩】より

…また火事があると復興に金をつかうので景気がよくなる,けんかも仲直りに飲食が付物なので飲食店がもうかる,それゆえ華にたとえたという説もある。江戸時代,江戸で働く者の中心は職人だった。職人は腕一本に名誉をかけて仕事をした。…

【工房】より

…職人や芸術家(工匠)の仕事場。転じて,そこで親方・師匠に従って制作に従事する人的組織。…

【コンパニョナージュ】より

…産業化以前のフランスの手工業職人たちが職種ごとに集まり,技能訓練,仕事の保障,相互扶助,求道心の練磨などを目的に組織した同職種の職人組合。伝説によれば,その起源は聖書時代にまでさかのぼり,ソロモン王がエルサレムに神殿を築いた時の組織が起りだという。…

【細工】より

…ふつう手先を使って細かい小道具,調度などを作ること,あるいはその職人を指す語。《類聚三代格》809年(大同4)の〈内匠寮雑工長上,番上〉の中にみえる細工,《延喜式》内匠寮で五尺屛風を製作する工人中にあげられた細工は,木工,鋳工,鍛冶工,漆工等と区別された,細かい木製の調度を作る工人で,《宇津保物語》(吹上)で作物所に属し,沈(じん),蘇芳(すおう),紫檀から破子(わりご),折敷(おしき),机等を作った細工も同様の人々であった。…

【士農工商】より

…江戸時代の社会を構成した主要な身分である武士,百姓,職人,商人を指す言葉。四民ともいう。…

【職人組合】より

…ヨーロッパにおいて手工業の職人Geselleが結成した組合。中世の都市内に成立した手工業職人Handwerkerのギルド(手工業ギルドはとくにツンフトと呼ばれる)においては,親方,職人,徒弟の3区分ができあがっていたが,14世紀初めには技術面では親方と同じ能力をもちながら親方株が少なかったために身分上は親方になれない職人段階の者の数が著しくふえていた。…

【旅】より

… このような食料採集の旅は,猟人,山人または漁民等の手に受け継がれてゆくが,しかしその後長い間,農民以外のものは食料採集のためではなくても,生きるために旅をせねばならなかった。そのおもなものは商人・職人で彼らのほとんどが行商人であり,歩き職人であった。人口の密集した都市の少ない時代には,商人・職人はいながら,座して顧客を得ることはできず,旅をして新しい土地で新しい需要者をたえず開拓して,始めて生計を立てることができた。…

【中世社会】より

… ここでは北海道,沖縄を除き,荘園公領制という一応共通した土地制度の上に立ち,後期には村・町制に移行しはじめる社会を中世社会ととらえ,院政期から江戸初期までを視野に入れて,社会体制,社会的諸関係,諸集団などについて概説する。
〔被支配者の諸身分〕
中世社会における被支配者の身分は,大きく自由民と不自由民とに区分され,自由民はさらに平民(平民百姓)と職人とに分けることができる。不自由民は主の意志によって売買・質入れされ,譲与の対象となった下人であり,これを奴隷とみるか,農奴とみるか,議論が分かれているが,奴隷と見るほうが自然であろう。…

【町人】より

…日本近世における被支配諸身分の中で,百姓や諸職人とともに最も主要な身分の一つ。その基本的性格としては,(1)さまざまな商業を営む商人資本であること,(2)都市における家持(いえもち)の地縁的共同体である町(ちよう)の住民であり,正規の構成員であること,(3)国家や領主権力に対して,町人身分としての固有の役負担を負うこと,などがあげられる。…

【問屋】より

…問屋が加工工程を包括した場合であって,みずから作業場をもつ場合と,加工工程を外部にかかえる場合とがあった。前者は資力のある職人がみずから材料を買い入れ,これを加工して販売する場合であって,角細工職,筆職,漆職等にみられた。後者は資力の乏しい職人が問屋より原料や道具を貸与されて手間賃をかせぐ場合であった。…

【徒弟制度】より

…手工業ギルドを中心に同職組合が形成された14世紀ころ,それと結合しつつ確立した。親方master(ドイツではマイスターと呼ばれる),職人journeyman,徒弟apprenticeという身分的な階層制度を形成する。親方は契約によって徒弟を雇い,衣食住を保証するが賃金は支払わず若干のこづかい銭を与える。…

【兵農分離】より

…これは一職(いつしき)支配と呼ばれ,兵農分離の結果もたらされた近世的な社会体制を意味している。
[商人・職人の形成]
 農業生産から遊離した名主百姓のなかには,武士化せずに商人・職人となる者もあった。彼らは町場に居住する場合には町人身分となり,おりから成立しつつあった新たな分業関係に基づいて遠隔地商業に従事し,軍需品や生活必需品の製作にあたった。…

【平民】より

…平安末・鎌倉初期に中世荘園体制が確立すると,荘園の名主(みようしゆ)百姓が平民と呼ばれ,荘田を分割・編成した名田も〈平民名(へいみんみよう)〉と称せられた例がある。これに対して,平民である名主百姓の負担する年貢・公事(くじ)等を免除される特権を有し,諸種の職能をもって本所(ほんじよ)に奉仕する〈職人〉は平民と異なる身分とされ,また在地領主や有力名主に人身的に隷属した下人・所従ら非自由民も,平民とはみなされなかった。荘園制下では百姓と呼ばれる者が一般に平民身分に相当する。…

【由緒書】より

…物事の由来,とくに家,職人の職能などの起源,由来,系譜などを記したもの。とりわけ家の来歴や系譜,親族などを記した書類は重要で,由緒,履歴,家系,系譜などさまざまな呼称と共通の場合もある。…

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