袖留(読み)そでとめ

改訂新版 世界大百科事典 「袖留」の意味・わかりやすい解説

袖留 (そでとめ)

江戸時代において,男子の成年式に当たる元服のおりに,それまで着ていた振袖の脇をふさぐこと。腋(わき)ふさぎともいう。一般に成年式は,服飾の変化をともなうことを特色とするが,袖留はその一例である。元服は,13歳ころの半元服と,15歳ころの本元服との2段階に分かれるのがふつうであり,その場合,袖留は半元服の一行事であった。すなわち半元服には,額(ひたい)直しなどと称して額のすみの髪を剃るとともに袖留を行い,本元服に当たって前髪を剃り,武士社会ではこのおりに烏帽子(えぼし)をかぶったのである。なお,幼名から成人名への名替えは,武士社会においては半元服に,庶民の間では本元服に,それぞれとり行われる傾向がみられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 平山

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android