褐輪反応(読み)カツリンハンノウ(英語表記)brown ring reaction

デジタル大辞泉 「褐輪反応」の意味・読み・例文・類語

かつりん‐はんのう〔‐ハンオウ〕【褐輪反応】

硝酸イオンおよび亜硝酸イオンを検出するための反応試験。試験管濃硫酸をとり、それと等量の硫酸鉄(Ⅱ)を静かに注ぎ、次に試料溶液を少しずつ流し込む。硝酸イオンが存在すると、2つの液の境界面に褐色の輪が生じる。褐色環反応褐色環試験

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「褐輪反応」の意味・わかりやすい解説

褐輪反応
かつりんはんのう
brown ring reaction

褐色環試験ともいう。硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの検出反応。試験管に濃硫酸をとり、それと等量の飽和硫酸鉄(Ⅱ)溶液を静かに加え、2液が混合しないようにして、試料溶液を試験管の内壁に伝わらせながら静かに注入すれば、2液相の境界に暗褐色の帯状部が生ずる。これは
  3Fe2+NO3-+4H+
   ―→3Fe3++2H2O+NO
によって生ずる一酸化窒素NOが鉄(Ⅱ)塩と結合して不安定な化合物[Fe(NO)x]SO4を生成するためとされている。加熱すれば暗褐色帯状部は消失する。

[成澤芳男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の褐輪反応の言及

【硫酸鉄】より

…水溶液はゆっくり酸化される。NOを吸収して不安定な化合物FeSO4・NOをつくり褐色を呈するので,NO3およびNO2の検出に使われる(褐輪反応)。若干の1価金属MIの硫酸塩とMI2SO4・FeSO4・6H2Oのようなタットン塩をつくり,とくに(NH4)2SO4との複塩はモール塩として著名である。…

※「褐輪反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android