普及版 字通 「襄」の読み・字形・画数・意味
襄
17画
[字訓] はらう・たすける・のぼる
[説文解字]
[金文]
[その他]
[字形] 会意
衣+(けん)+(てん)。衣は死者の衣。その襟もとに、祝の器((さい))を二つおき、また呪具の工を四個おいて塡塞し、邪気が放散することを防ぎ、禳(はら)うのである。ゆえに襄は「禳う」「攘(はら)う」の初文。金文の字形は、衣の間に種々の呪具をおく形に作る。〔説文〕八上に「の令に、衣を解きてす。之れを襄と謂ふ」とするが、襄声の諸字との間に声義の関係をえがたい。〔説文〕は字を(じよう)声とし、字条二上に「亂るるなり。爻・工・・に從ふ」とするが、その字形について説くところがない。また(じん)字条三下に「此れと同なり」とするが、尋は左右の手を上下に組み合わせた形で、左右にと工との呪具をもち、神霊の所在を尋ねる意。襄はと工とを死者の衣襟の上に列して、邪霊を禳う意である。〔書、尭典〕「陵(をか)に襄(のぼ)る」の襄は、驤字の義。
[訓義]
1. はらう、はらいきよめる。
2. たすける、力をそえる。
3. 驤と通じ、のぼる、あがる、あげる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕襄 ハラフ 〔字鏡〕襄 タカシ 〔字鏡集〕襄 ツクス・ウヘ・ノル・ツラフ・ノゾク・ナル・ノボル
[声系]
〔説文〕二上にを部首とし、襄を声とするが、は襄の初文。死喪の礼として行う祓禳の呪儀を襄という。襄声の字として禳・讓(譲)・攘、また・穰(穣)・孃(嬢)・壤(壌)・(醸)など、十七字を収める。前者は祓禳に関する字、後者は柔らかくゆたかな状態にあるものをいう。
[語系]
襄・驤siangは同声。それで襄を驤(のぼ)る意に用いる。禳・孃・穰njiangも声近く、孃・穰はまた・・濃niumと通ずる語で、豊穣の意をもつ語である。
[熟語]
襄岸▶・襄賛▶・襄事▶・襄助▶・襄尺▶・襄羊▶・襄陵▶・襄労▶
[下接語]
賛襄・七襄・上襄
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報