西明寺(滋賀県)(読み)さいみょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西明寺(滋賀県)」の意味・わかりやすい解説

西明寺(滋賀県)
さいみょうじ

滋賀県犬上郡甲良(こうら)町池寺にある天台宗の寺。竜応山(りゅうおうざん)と号し、西に大きな池があるので池寺(いけでら)ともよばれる。金剛輪寺(こんごうりんじ)、百済寺(ひゃくさいじ)と並ぶ湖東三山の一つ。834年(承和1)仁明(にんみょう)天皇の勅願により、法相(ほっそう)宗の明詮(みょうせん)(787―868)の弟子、三修(さんしゅ)の創建と伝える。室町時代に僧兵を抱え、多くの堂塔をもったが、織田信長の攻撃を受けて大半を焼失本堂、三重塔、二天門は残った。徳川家康が寺領300石を寄せ、再興を図った。延宝(えんぽう)年間(1673~81)友閑(ゆうかん)が諸堂を建て、さらに明治以後再建された。鎌倉時代造立の本堂および三重塔は国宝。本堂外陣(げじん)に佐和山城を描く障壁画がある。1407年(応永14)建立の二天門、嘉元(かげん)2年(1304)の刻銘をもつ宝塔、絹本着色十二天像、薬師如来(やくしにょらい)立像、多聞天(たもんてん)・広目天立像、釈迦(しゃか)如来立像、不動明王および二童子像、錦旛(きんぱん)5流は国の重要文化財。庭園は江戸時代の造園で、浄土を表現した池泉観賞式の名園。

[田村晃祐]

『『古寺巡礼 近江6 湖東三山』(1980・淡交社)』


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