見切(読み)みきり

精選版 日本国語大辞典 「見切」の意味・読み・例文・類語

み‐きり【見切】

〘名〙
① みきること。先を見込んで切り捨てること。みかぎること。みすてること。
浮世草子傾城禁短気(1711)三「さりとは物は見切(ミキリ)が大事じゃ」
② よく見て判断すること。情勢をみきわめること。
上井覚兼日記‐天正一〇年(1582)一一月二五日「一昨日二十三、見切に少々深江へ被遣候、然処敵出合候間」
商品を特に安く売ること。捨て値で売ること。
※談義本・華鳥百談(1748)五「功徳池の蓮もひところは、盆前に見切に直をして、商人に渡し」
④ 仕切り。
※合巻・教草女房形気(1846‐68)五「見きりの衝立に薩陀峠の不二の山に心付かざるは」
歌舞伎大道具で、舞台の奥の方が見えないように、上手下手に、切出しや張り物を設けること。また、そのもの。
※歌舞伎・五大力恋緘(1793)一幕返し「この三間の間の所に見切の唐紙
⑥ 見える限り全部。一括。
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一三(1763)天一「一(ひと)格子見切(みきリ)に買へば殿になり」
⑦ 建築材の端部のこと。また、その形、おさめ方。

み‐き・る【見切】

〘他ラ五(四)〙
最後まで見る。見終わる。見果てる。
② あらかじめ最後を見通し、可能性がないとしてあきらめる。見限る。見捨てる。
※浮世草子・好色一代男(1682)六「きさまの事をあらため、是非にみきれとはつらし」
様子を終わりまで見とどける。よく見て判断する。状態を見きわめる。
日葡辞書(1603‐04)「イクサノ ヤウスヲ miqiru(ミキル)
④ 置いておいても売れそうにない商品を捨売りする。見限って商品を大幅に値下げして売る。
※落語・性和善(1891)〈三代目春風亭柳枝〉「撰(より)からしは元価に見切って売り」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android