衝立障子(障子)の略。支脚台の上に襖(ふすま)障子や板障子などを立てて目隠しや間仕切に使うもの。古くから使われていたようだが,平安時代に住宅用家具として発達した。当時の衝立障子は布,絹,紙などを張り,周囲に唐錦の縁取りをし,框(かまち)と支脚台は木製漆塗で金銅金具が打ってある。布の場合は墨絵,絹と紙には彩色絵が描かれる。また通(ず)障子(透(すかし)障子)といって錦張りの障子の中に四角い窓をあけ,ここに御簾(みす)をかけたものもあった。これは高さ7尺,幅1丈2尺とたいへん大きく,禁裏で使われた。平安時代の衝立では清涼殿の庇(ひさし)に置かれた昆明池障子(こんめいちのしようじ),年中行事障子,馬形障子などが有名である。これらはその後も禁裏の調度として伝承されている。江戸時代になると衝立は庶民階級の家具として発展する。材料には布,絹,紙のほか,木,竹,菅(すげ),筵(むしろ)なども使われ,作り方も板,格子組み,簀の子(すのこ),網代(あじろ)など多様な手法を用い,広く普及した。近代に入るとガラスや金属を使った洋風衝立も作られた。
執筆者:小泉 和子
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襖(ふすま)障子や板障子などに台をつけて立て、間仕切りや目隠しに用いるもの。玄関や座敷、また飲食店などで座席を分け屏障(へいしょう)したりするのに用いる。衝立障子の略。「ついたて」は「突き立てる」意の大和(やまと)ことば。中国語ではこれも屏風とよぶことから考えると、衝立は古くから日本でつくられていたものであろう。古くは莚(むしろ)や薦(こも)などでつくられたようであるが、平安時代には布、絹、紙を張った襖障子の衝立や、通(ず)障子(透(すか)し障子)といい、襖障子に窓をあけ御簾(みす)を掛けたものなどが生まれ、宮中や貴族住宅で盛んに用いられた。近世、近代になり一般民衆が使うようになると材料、意匠はより豊富になり、用途も多様化し、現代では洋風意匠の衝立もつくられている。
[小泉和子]
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…和風建築に用いられる建具の一種。古くは戸,衝立(ついたて),襖(ふすま)などの総称であったが,現在は明障子(あかりしようじ)をさす。障子の語はすでに奈良時代の《西大寺資財流記帳》(780)に見られ,〈補陀羅山浄土変一鋪〉は〈障子絵〉で周囲に〈紫細布縁〉を施していたという。…
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