コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

大道具 おおどうぐstage setting; scenery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大道具
おおどうぐ
stage setting; scenery

舞台美術の一環で,建物樹木岩石などの書割切出しなど,登場人物が手に取ることのない舞台装置舞台機構をさす。古代劇場では舞台の機構自体が装置の機能を果しており,大道具が用いられるようになったのはルネサンス後期からである。イタリア絵画の影響を受けて,遠近法による書割や切出しを主としたが,この傾向は 19世紀の写実主義の台頭とともにますます強調されて,舞台での現実の再現が追求された。しかし 19世紀末になると,G.クレイグや A.アッピアがこれに反対し,照明によって舞台の空間を確保しながら,作品に必要な雰囲気をつくりだす方向へと向った。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

おお‐どうぐ〔おほダウグ〕【大道具】

舞台装置のうち、建物・背景・樹木・岩石など、大がかりな飾りつけの総称。⇔小道具
大道具方」の略。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

大道具【おおどうぐ】

舞台装置のうち場面の情景を表したり,演技を助けるための,俳優が動かすことのできない大きな飾物をいう。建物や樹木,岩石,背景など。なお回り舞台やせり出しなど舞台機構の一部も含まれる。
→関連項目切出せり丸物

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

とっさの日本語便利帳の解説

大道具

舞台装置のうちの樹木、岩、家並など大きな建物。これら背景となる絵を書割(かきわり)、役者が手に取って使うものを小道具という。

出典|(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

おおどうぐ【大道具】

舞台用語。劇中に舞台に飾りつける諸物のうち,山,野原,海,川などの背景や,建物,樹木,土手,岩石など大がかりなものをいう。屋内の諸道具や俳優の持道具をさす〈小道具〉に対するもので,単に〈道具〉と呼ぶこともある。歌舞伎から出た語であるが,現代では一般の演劇から映画・テレビなどの用語にもなっている。ただし,一般演劇では〈舞台装置〉,映画・テレビなどでは〈セット〉という語の同義語として使われるが,歌舞伎本来の大道具とはもっと範囲が広く,〈引幕〉〈回り舞台〉〈セリ〉など劇場常備の舞台機構も含まれ,道具の作製と飾りつけや機構の操作を受けもつ職業を〈大道具師〉〈大道具方〉または〈道具方〉と呼んでいる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

おおどうぐ【大道具】

書き割り・建物・樹木・岩など、出演者が手に取らない舞台装置。 ↔ 小道具
「大道具方かた」の略。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大道具
おおどうぐ

演劇舞台用語。劇中、舞台に飾る諸物のうち、背景、家屋、樹木、岩石など大掛りなもの。登場人物が手に持つ「小(こ)道具」に対する語。歌舞伎(かぶき)から出た語だが、今日では広く各演劇ジャンルで使われ、単に「道具」とよぶこともある。大道具の作製、飾り付け、転換などを受け持つ職業を「大道具師」「大道具方(かた)」、または「道具方」という。初期の歌舞伎は能舞台をそっくり模したような舞台で、演目も単純な一幕物ばかりだったから、大道具も簡単だったが、多幕物が発達し、俳優の演技が複雑になるにつれ、それまで舞台装置に類するものを担当していた大工職が独立し、専門の大道具師が生まれたことにより、技術と機構が著しく進歩した。大道具師の祖といわれるのは、江戸・日本橋の宮大工の子、初世長谷川(はせがわ)勘兵衛(?―1659)である。
 歌舞伎では、発達につれて演技に基本的な型ができてくると、舞台の構造も一定の様式を備えるようになり、大道具でも一定の高さ、長さ、幅、色彩などをもち、何にでも活用できる「定式(じょうしき)大道具」をくふうし、劇場に常備するようになった。たとえば、舞踊劇や様式的な古典劇に使う所作(しょさ)舞台をはじめ、二重(にじゅう)、木戸(きど)、欄間(らんま)、勾欄(こうらん)、三段、障子などで、これらを組み立てて構成される屋体を定式屋体とよんでいる。
 普通、大道具は、骨組をつくる「生地(きじ)」(または「大工(だいく)」)、紙や布を張る「張方(はりかた)」、塀、屋根、壁などを描く「塗方(ぬりかた)」、景色、立ち木、襖絵(ふすまえ)など絵画的な絵を描く「画師(えし)」などの職分に分業され、その流れ作業によって製作される。一般に大道具は舞台装置と同義語のように思われているが、歌舞伎では範囲が広く、回り舞台、せり、引幕なども含まれ、ツケ打ち、幕引きや、天井から雪や花などを降らせることも、大道具方の受け持ちになっている。[松井俊諭]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の大道具の言及

【歌舞伎】より

…また,爽快でスピーディなテンポで行われる見世物的演出を劇の中で駆使し,奇抜な趣向を可能にした。たとえば《東海道四谷怪談》に見る提灯抜け,戸板返し,仏壇返し,忍び車など大道具の仕掛け,そのほか鬘や小道具の仕掛けを駆使している。だが,南北の才能も,個性の強烈な実力派の役者たちがいてこそ花開いたものである。…

※「大道具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大道具の関連キーワード長谷川 勘兵衛(16代目)長谷川勘兵衛(16代)長谷川勘兵衛(17代)引き道具・引道具引き割り・引割り長谷川 三之助長谷川勘兵衛付け帳・付帳引き台・引台長谷川三之助金井 忠次郎芝居の植木金井忠次郎せり上げ迫り込み迫り出し煽り返し居所変り舞台稽古迫り上げ

今日のキーワード

かりゆし

1 沖縄方言で「縁起がよいこと」「めでたいこと」を表す語。2 「かりゆしウエア」の略。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

大道具の関連情報