改訂新版 世界大百科事典 「見捨地」の意味・わかりやすい解説
見捨地 (みすてち)
江戸時代,公租公課のすべてを免除されていた土地のうち,朱印地,除地(じよち)以外のもの。見捨場ともいい,検地の対象から除外された。墓所,死牛馬捨場,火葬場などは〈穢れ物なれバ,地頭ヘ納むべきことにあらず〉(《地方凡例録》)とされて検地帳への記載が忌まれ,検地に際しては竿入れが行われず,縄外におかれて見捨地とされた。このほかにも道,川,堤,溝などには,縄外の見捨地にされたものがあった。これらは初期の検地帳には記載されていなかったが,のちには〈見捨〉〈竿外〉などとして検地帳外書に記載されるようになった。ただし,検地後新設されたものは〈高内引(たかうちびき)〉とし,その後の新検地に際しても,再度それに竿入れして高に結び,〈高内引〉とした。一般的に検地の施行に際しては,見捨地を最小限に抑えようとする姿勢がとられていた。
執筆者:葉山 禎作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報