高内引(読み)たかうちびき

精選版 日本国語大辞典 「高内引」の意味・読み・例文・類語

たかうち‐びき【高内引】

  1. 〘 名詞 〙 天災または種々の事情により年貢納入が不可能の地の高を村高から引いて年貢を軽減すること。徴租不能の状況により、一作引当引)、年年引、連連引の三種類があった。「たかうちびけ」とも。
    1. [初出の実例]「一、溜井、堀敷〈略〉土取場等之洪地高高内引、右同断」(出典:日本財政経済史料‐八・官制・勘定所職制雑・延享二年(1745)九月)

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改訂新版 世界大百科事典 「高内引」の意味・わかりやすい解説

高内引 (たかうちびき)

江戸時代,田畑が災害によって荒廃したり,道や堤に地目が変更されるなど,年貢を免除または軽減すべき事情が生じた場合,その分を引高として村高の内から控除することをいう。高内引には年々引,連々引,一作引の3種がある。年々引は,なんらかの必要があって人為的に地目変更がなされた土地など,もとに戻る見込みがない場合に適用され,永引高として恒常化されるものである。郷蔵屋敷引,田畑成引,堤敷引,溜井敷引,道代引など多くの種類がある。これに対し,山崩れ洪水などの天災によって高内引となった土地は,連年起返(おこしかえし),原状に復しうるものであるから連々引と称し,年々引と区別された。川欠引,永荒場引,石砂入引,池成引などがこれにあたる。また一作引とは,風水害干ばつ虫害などで作付不能となったり,立毛を損毛して収穫皆無となった場合に,その年に限り高内引にするもので,当引とも称する。
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