日本大百科全書(ニッポニカ) 「親鸞聖人絵伝」の意味・わかりやすい解説
親鸞聖人絵伝
しんらんしょうにんえでん
親鸞上人一代の伝記を絵画化したもの。本願寺3世の覚如(かくにょ)が1295年(永仁3)に二巻本を撰述(せんじゅつ)し、法眼浄賀(ほうげんじょうが)に絵を描かせたのが最初で、以後各門派により盛んに制作され、布教に用いられた。永仁(えいにん)本の原本は今日伝わっていないが、京都・東本願寺蔵、円寂(えんじゃく)・宗舜(そうしゅん)筆の康永(こうえい)本(4巻、1343)、同弘願(こうがん)本(4巻、1346)、千葉県照願寺本(4巻、1344)、西本願寺蔵の『善信上人絵伝』(2巻)などの絵巻の遺品がある。また三河(みかわ)の真宗寺院を中心に掛幅画も流行し、遺品では愛知県妙源寺本、同如意寺本などの諸本がとくに知られている。
[村重 寧]