日本大百科全書(ニッポニカ) 「解放民管理局」の意味・わかりやすい解説
解放民管理局
かいほうみんかんりきょく
Freedmen's Bureau
正確には「避難民、解放民および放棄土地局」Bureau of Refugees, Freedmen, and Abandoned Landsという。アメリカ合衆国の陸軍省の一部局として、1865年3月に1年間という期限付きで設立された。おもな任務は、解放されたばかりの黒人に衣食や医療の世話をする救済、労働契約の調整、黒人に関する裁判の執行、放棄あるいは没収された土地の管理およびそれらの土地の解放民への貸与・販売、黒人のための各種の学校の設立、教師の雇用、黒人の移動用の輸送手段の提供などであった。対象はおもに解放黒人であったが、貧乏白人にも適用された。局長はオリバー・O・ハワード。本部はワシントンに置かれ、南部各州に支部が設けられた。1866年2月、同局の存続を2年間延長し、管理および援助の権限を拡大する議案が、A・ジョンソン大統領の拒否を乗り越えて可決されたが、68年以降は延長されるごとにその権限は縮小され、72年に消滅させられた。
[竹中興慈]