精選版 日本国語大辞典 「言付」の意味・読み・例文・類語
いい‐つ・ける いひ‥【言付】
〘他カ下一〙 いひつ・く 〘他カ下二〙
① 物事を人に頼む。命じる。
(イ) 言って頼む。ことづける。付託する。
(ロ) 目下の者に命じる。申し付ける。また、物を注文する。
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「ソレ チャウチャク セイト iytçuqeraruru(イイツケラルル) ホドコソアレ」
※俳諧・曠野(1689)員外「むく起に物いひつけて亦睡り〈野水〉」
② その人にとって好ましくないことを他に告げ知らせる。
(イ) 無実のことや不都合なことを人に言い知らせる。作りごとをして言いふらす。
※宇津保(970‐999頃)忠こそ「なに事をいひつけんと、眼をつけて見給へど、いひつくべき事もなし」
③ あだ名などを付ける。命名する。
※栄花(1028‐92頃)日蔭のかづら「大宰相の君などいふ人、おばおとどなどいひつけ給ひ」
④ いつも言っている。言い慣れる。
⑤ 叱りつける。きびしく言いきかせる。注意する。
いい‐つ・く いひ‥【言付】
[1] 〘自カ四〙
① 言葉をかける。話しかける。言い寄る。
② 男女が親しい間柄になる。関係ができる。
※大和(947‐957頃)一〇三「のちはかへりごとはして、いひつきにける」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒いいつける(言付)
いっ‐つ・ける【言付】
〘他カ下一〙 「いいつける(言付)」の変化した語。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「女房はそばからいしゃへいっつける」
※あらくれ(1915)〈徳田秋声〉五「阿母(おっか)さんに言告(イッツ)けてやるぞ」
ゆい‐つ・ける ゆひ‥【言付】
〘他カ下一〙 ゆひつ・く 〘他カ下二〙 (「いいつける(言付)」の変化した語) 物事を命じる。命令する。
※土井本周易抄(1477)四「各臣下にゆい付てさする程に、失も得も恤がないぞ」
いい‐つか・る いひ‥【言付】
〘他ラ五(四)〙 言い付けられる。命じられる。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉四「いいつらの皮ダ。とんだ加役をいいつからア」
い‐つ・ける【言付】
〘他カ下一〙 「いいつける(言付)」の変化した語。
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三「又車屋の神さんにいつけられますよ」
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